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ドラフトウラ話…“度会逃し”の中日は2位指名で「横浜高校同期」…もし1位を当てていたら? ドラフト全指名を検証する《中日・日ハム・ヤクルト編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2023/11/09 11:00
中日2位指名の津田(左、三菱重工East)とDeNA1位指名の度会(ENEOS)は横浜高時代の同期。競合くじによっては命運が変わっていたかも…?
3位までの36人に福田幸之介(履正社高)が入っていないことに首をひねっていたら、4位指名の先頭で名前が聞こえて思わず「遅いだろ……!」。
高校生左腕で、前田悠伍(大阪桐蔭高)、東松快征(享栄高)、杉山遙希(横浜高)に次いで4人目の指名(山形中央高・武田陸玖は打者と見る)。投手の人選はチームの「好み」もあるが、もっと上でもおかしくない。
クロスファイアーに、右打者の外に逃げるシュート回転。サウスポーにしか投げられないボールの球筋がきびしい。
5位・土生翔太(BC茨城)と6位・加藤竜馬(東邦ガス)は、いずれも芯で捉えてもスイングを粉砕するパワーピッチャー。そういうタイプが福谷浩司しかいないチーム事情に照らした指名だ。ちなみに、土生投手については、今回3人目の「横浜高OB」の指名となった。
日ハム2位指名・進藤勇也は「今後5年は出ない捕手」?
【日本ハム ドラフト指名選手】
× 西舘勇陽 22歳 投手 中央大 185cm79kg 右投右打(巨人との抽選に敗れる)
× 前田悠伍 18歳 投手 大阪桐蔭高 180cm80kg 左投左打(楽天、ソフトバンクとの抽選に敗れる)
1位 細野晴希 22歳 投手 東洋大 180cm86kg 左投左打
2位 進藤勇也 22歳 捕手 上武大 182cm90kg 右投右打
3位 宮崎一樹 22歳 外野手 山梨学院大 184cm84kg 右投右打
4位 明瀬諒介 18歳 内野手 鹿児島城西高 183cm87kg 右投右打
5位 星野ひので 18歳 外野手 前橋工高 182cm84kg 右投右打
【日本ハム 総評】
1位指名の抽選で西舘勇陽(投手・中央大)を逸し、前田悠伍(投手・大阪桐蔭高)を外し、さらに細野晴希(投手・東洋大)まで千葉ロッテと重なって、さすがに3度目の抽選の瞬間には、テーブルに顔を伏せるようにして、頭の上で両手を合わせる球団幹部の姿すら見えた。
150キロ左腕と高い評価もあったが、その150キロ台になるとボールが高く抜けたり、試合途中で急にリリースポイントを見失ったり、内角になかなか投げなかったり、不安な要素もいくつか見え隠れする細野投手だが、何かのきっかけで目の前の霧がパッと晴れた時は、とんでもないボールを投げる左腕になって、あっという間にメジャーに行ってしまう……そんな近未来も想像できてしまうのだ。
その細野投手に、初めて「内角」を要求して投げさせたのが2位・進藤勇也捕手(上武大)なのだから、これ以上の「良縁」もないだろう。
昨年暮れ、学生ジャパンの候補合宿での出来事。これだけの球威を持ったサウスポーが「ふところ」を突く気になったら怖い。突けるようになったら、無双だろう。
スピード、精度ともすでに一軍クラスのスローイング能力と、なんといっても捕手としての「匂い」。これほどの捕手は、向こう3年、ひょっとしたら5年出てこない。進藤捕手獲得だけで、今年の日本ハムドラフト、十分「ブラボー!」なのだ。