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菅野智之、日本ハム1位指名拒否の裏に母の壮絶な覚悟 「どんなに大変なことが起きても…」

posted2020/10/19 17:02

 
菅野智之、日本ハム1位指名拒否の裏に母の壮絶な覚悟 「どんなに大変なことが起きても…」<Number Web> photograph by KYODO

2011年11月21日、神奈川県平塚市の東海大野球部合宿所で日本ハムからの指名を拒否する会見を開いた東海大・菅野投手

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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 まるで世界を敵に回したようだった。

 2011年10月27日。東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われたドラフト会議。ロッテから始まった各球団の1位指名はいきなり東洋大の藤岡貴裕投手にロッテ、横浜、楽天の3チームが競合する波乱のスタートだったが、その後は順調に指名が進んでいった。

 そうして回ってきた8番目の巨人が指名したのは、東海大の菅野智之投手だった。

 原辰徳監督を伯父に持つ菅野は、巨人一本の希望を語り、事前に接触した他球団には指名をしないで欲しい旨を伝えていた。その意思の固さに1位候補としてきたほとんどの球団が指名を回避し、他の選手へと回っていった。おそらく巨人の一本釣りが濃厚と言われ、その予想通りに指名は淡々と進んでいくかに見えた。

 その中で予定通りに巨人が菅野を指名したこの時点では、まだ会場は凪いだ状態だった。

世論を圧倒したのは、菅野は日ハムに行くべきという論調

 ところが、である。

 巨人の指名が終わった次の9球団目が日本ハムだったのだ。

「第1回選択希望選手、北海道日本ハム……菅野……」

 名前が全て読み上げられる前に会場には「ウワーッ」という驚きの声と何とも言えぬ拍手が湧き起こった。

 そして抽選で日本ハムが当たりくじを引き当てると、会場はそれを期待していたような大歓声に包まれ、ガッツポーズをする日本ハムファンの姿がテレビでも大きく映し出された。

 そこから世論を二分する……いや、世論を8対2か9対1で圧倒したのは、菅野は日本ハムに行くべきだという論調だった。

【次ページ】 「事前に指名するという挨拶もなく強行指名するのは失礼だ」

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