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ダルビッシュに憧れた少年はなぜ東大からプロを目指すのか? 東大野球部エース井澤駿介「浪人期間は一回も遊ばず…1日12時間勉強してました」
posted2023/04/12 17:00
text by
文藝春秋・編BUNGEISHUNJU
photograph by
Takao Fujita
『東大野球部には「野球脳」がない。 最下位チームの新・戦略論!』(文藝春秋編)に掲載された井澤投手のインタビューを一部抜粋して紹介します。【全2回の前編/後編へ】
2022年10月20日、木曜日。
新聞記者が何人か、グラウンドに降りていた。彼らの興味は、週末の法政戦ではない。夕方5時からのドラフト会議で、東大から2人の選手が、プロ野球志望届を提出していた。
井澤駿介と阿久津怜生。野球部を支えてきたエースと、アメフト部から転部した俊足強打の外野手。東大卒7人目のプロ野球選手が誕生するのか......と期待されていた。
スタンドから見ていると、井澤の体つきは際立っている。とくに後ろ姿は、尻から太もも、ふくらはぎにかけて、ゴムまりのような弾力性がありそうだ。
選手たちは楽しそうに練習している。マネージャーに聞いたら、ドラフトされたときの指名会見はズームでおこなわれるらしい。2日後にはリーグ戦の最終カードもある。主力選手たちが帰ったあと、グラウンドはさびしくなった。
ドラフトの結果は、指名なし。
2日後の10月22日、法政1回戦。先発した井澤のピッチングは、素晴らしかった。7回96球を投げて、1失点。翌日の最後の9回にも1イニング登板して、12球を投げた。
シーズン終了後、井澤駿介の話を聞かせてもらった。
チームメイトからは口数が少ないと思われているようだが、じっくりと言葉を探りながら、答えてくれる。
2023年からは、社会人のNTT西日本で、野球を続ける。
ダルビッシュに憧れて
ーー2022年の秋シーズン、東大の試合を追いかけていました。法政2回戦の最後に、三振とったじゃないですか。
井澤 そうですね。井手監督の気づかいというか、最後は投げさせようという感じで、嚙みしめて......というのはありました。
ーー井澤さんは2年生からリーグ戦に出ていました。中心的な役割を果たしていた4年生が抜けるというタイミングで、チームはいかにして次世代にシフトしていくのか。いまは東大野球部の節目でもあると思います。まずは井澤さんの少年時代、野球との出会いから聞かせてください。お兄さんの影響ですね。