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《いよいよ運命のドラフトへ》慶大4番・正木智也が“注目スラッガー”になるまで「僕は人に恵まれています」
posted2021/10/10 06:02
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Sankei Shimbun
端正な顔立ちだけでなく、勝負強い打撃、放物線を描く打球の弾道にスター性を感じる慶應義塾大の不動の4番打者・正木智也。10月11日に迫ったプロ野球ドラフト会議で上位指名候補として大きな注目を集めている。
今春は出色の活躍ぶりだった。
東京六大学リーグ戦では、開幕戦こそ無安打に終わったが、翌日の2回戦でドラフト候補の大型左腕・山下輝(法政大)からソロホームランを放った。これを皮切りに正木はその後も要所で打ち続けて、10試合4本塁打12打点の成績で優勝に貢献。三振は3個のみで、10四死球を選ぶ選球眼の良さも光った。
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さらに全日本大学野球選手権では、初戦から2試合無安打も、上武大との準決勝で3回に先制2ランを放ち、8回には決勝タイムリー。福井工業大との決勝戦でも初回に先制の2ランで口火を切ると、6回に中押しのタイムリーで13対2の大勝、34年ぶり4回目の優勝に導いた。
堀井監督も信頼を寄せる「4番の働き」
「チームが苦しい時に打つ」
これは4番打者に特に求められる要素だろう。実際のところ、正木の今春のリーグ戦打率は.257と決して高い数字ではない。昨秋の.378と比べると見劣りはする。それでも慶大・堀井哲也監督は正木に対して大きな心配はしていなかったという。
「僕がレギュラーの人に言っているのは、“4打数ノーヒットでもチームが勝てば、その4打数ノーヒットが勝ちに結びついたのではないか”ということ。その中で、チームは勝ち続けて、4番の働きを要所要所にした。四球も多い。だから私は心配していませんでした。むしろ、本人のメンタルとして焦っているんじゃないかと思って“これでいいんだよ”と伝え続けました」
正木もまた「堀井監督から“スイングは悪くないよ”“全然調子悪くないから大丈夫だよ”と常々言われていましたし、付きっきりで指導してくださることもありました。要所で打てたのも、堀井さんのおかげだと思います」と感謝している。