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「宇田川ジャパンにのし上がって…」WBC侍ジャパン・コーチが明かす宇田川優希の対応力「馴染めないフリして全部かっさらっていく」

posted2023/02/28 20:00

侍ジャパン初選出の宇田川優希。WBCではリリーフとして様々な場面での起用が想定される

text by

鷲田康Yasushi Washida

PROFILE

photograph by

Hideki Sugiyama

　収穫は宇田川と伊藤だった。

　第5回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）に出場する日本代表・侍ジャパンが行った2試合のソフトバンクとの強化試合。

　基本的には選手の実戦感覚と調整を主眼にした2試合だったが、その中で栗山英樹監督にとって、大きな収穫となったのが走者を置いた場面で自在にマウンドに送り出せる投手を確定できたことだった。宇田川優希投手（オリックス）と伊藤大海投手（日本ハム）。この2人の右腕が中継ぎとしてスクランブル登板できる目処がたったことは、日本代表にとっては本大会に向けての大きな収穫となったはずである。

ダルビッシュ開催の「宇田川会」効果

　まず宇田川だ。

　育成から這い上がったシンデレラはスター揃いの代表チームになかなか馴染めず、キャンプ当初は居場所が見つからず殻にこもりがちだった。しかしそれを聞きつけたダルビッシュ有投手（サンディエゴ・パドレス）が積極的に手を差し伸べて「宇田川会」を開催。チームのご意見番の優しいフォローで、宇多川は一気にチームにも溶け込み、同時に一躍“時の人”となった。その“ダルビッシュ効果”は、ソフトバンク戦の初実戦でもいかんなく発揮されたようである。

　予定外の場面で出番は回ってきた。

　4番手の宮城大弥投手（オリックス）がピンチを背負い、2イニング目の7回2死一、三塁で想定した球数を越えてしまった。そこで当初は8回の頭から5番手としてマウンドに上がるはずだった宇田川に急遽、お呼びがかかったのである。

　そんなスクランブル登板にも関わらず、マウンドに上がった宇田川は正木智也内野手を3球で追い込むと、最後は150㎞のストレートで空振り三振に仕留めてピンチを切り抜ける。回を跨いだ8回も四球の走者を許したものの、5番・栗原陵矢内野手を二ゴロ併殺に仕留めて1回3分の1を無失点で切り抜けた。