スクランブル登板が期待できる、もう1人の投手

　そしてこの宇田川に加えてもう1人、そういう走者を置いた場面でのスクランブル登板が期待できる投手として、厚澤コーチが推奨するのが伊藤である。

　こちらもソフトバンクとの試合では圧巻の投球を見せた。

　伊藤の出番は第1戦、先発の佐々木朗希投手（ロッテ）から第2先発候補の今永昇太投手（DeNA）と繋いだ3番手、5回の頭から。

「いい緊張感の中で真っ直ぐをしっかり投げ込めたので良かったと思います。状態も良かったので、遊び球もいらないかなという感じでストライクゾーンを狙って投げました」

ソフトバンクとの壮行試合で1イニング無失点に抑えた伊藤　©KYODO

　ソフトバンク打線を相手に臆せず、テンポ良くガンガン、ストライクを投げ込んだ。先頭のコートニー・ホーキンス外野手を投ゴロに仕留めると、栗原、今宮健太内野手をいずれも真っ直ぐで見逃し三振。相変わらずリリースの瞬間には時折、白い粉がパッと舞う。日本製のロージン使用がOKとなった恩恵もあって、WBCへの適応もバッチリ。ボールの威力も制球も文句なしで仕上がりの良さをアピールした。

リリーバーとしての伊藤の適性とは

　伊藤は所属の日本ハムではローテーションの一角を担う先発投手として活躍するが、一昨年の東京五輪では中継ぎ投手としてユーティリティー的な役割を担った実績もある。もともと日本ハムで投手コーチを務めていた厚澤コーチはリリーバーとしての伊藤の適性をこう解説する。

「ランナーを置いてファーストピッチからアジャストできる能力とアドレナリンは宇田川と近いものを持っていると思います。スイッチの入れ方も上手いですし、ブルペンで長いイニング待機してバックアップに回れる能力を持っている」

　今回のソフトバンクとの2試合ではクローザー候補の栗林良吏投手（広島）と大勢投手（巨人）も順調な仕上がりを見せ、特に大勢は力強いストレートでソフトバンクの強力打線を圧倒するなど圧巻のピッチングを見せた。

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