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甲子園の風BACK NUMBER
「あいつにはいろんな言葉をかけました」今永昇太を高校で指導、恩師が振り返る“110km左腕が2年で142kmを投げるまで”「トルネードに変えてみたり…」
posted2023/03/01 11:00
text by
内田勝治Katsuharu Uchida
photograph by
Hideki Sugiyama
横浜DeNAベイスターズのエースとして、侍ジャパンにも選出された今永昇太。「投げる哲学者」とも呼ばれ、その考えや発言はファンのみならず、後輩選手にも多くの影響を与えている。福岡の県立高校入学時は“無名”の存在だった左腕の原点に迫った。(全2回のうち第1回/続きは#2へ)
監督と野球部部長、2人の恩師
「逆境こそ覚醒のとき」
「いつでもエースであれ」
高校時代の監督から授かった「金言」を胸に、侍ジャパンの一員として世界一を決める大会のマウンドに向かう左腕がいる。
今永昇太29歳。横浜DeNAベイスターズのエースとして、昨季はノーヒットノーランを達成するなど、3年ぶりの2桁勝利となる11勝(4敗)をマーク。日本代表として初めて出場するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では先発や、救援から複数イニングを投げる第2先発、ワンポイント救援など、オールマイティーな活躍が期待される。
日本を代表するサウスポーへと成長した今永には2人の恩師がいる。田中修治さん(57、現小倉商業監督)と井上勝也さん(41、現香住丘監督)。今永が福岡県立北筑高校に在籍した当時の野球部部長と監督だ。田中さんが述懐する。
信号待ちしている時にたまたま見かけて…
「彼は(北九州市立)永犬丸中の軟式野球部では確か3番手くらいの投手でした。たまたま永犬丸中の横を車で通りかかって信号待ちをしている時に投げているところを見たんですよ。体は小さいけど、フォームがきれいな子だなっていう印象でした」
このわずか数十秒の出来事が、今永の運命を変えることになる。田中さんは当時の監督に今永の印象を尋ねられた。聞けば、本人が北筑を希望しているという。