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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「三笘薫に『正直しんどいです』」アーセナル冨安健洋24歳の告白…三笘との“ユニ交換”で何を話した?「尊敬する(香川)真司さんのアドバイス」
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byRyu Voelkel
posted2023/02/10 17:30
20試合を終え、途中出場を含めて16試合に出場しているアーセナル冨安健洋(24歳)。1月にロンドンでNumberの独占インタビューに応じた
失意の冨安は12月に日本に一時帰国した。日本代表はベスト16で敗退したものの、ドイツとスペインを破り、クロアチアをあと一歩のところまで追い詰めた戦いに、称賛の言葉を浴びることもあった。しかし冨安はそれを喜ぶことはできなかった。
束の間の日本滞在では香川真司と食事にでかけた。尊敬する先輩と、サッカーや人生について語りあい言葉を交わす中で、その思いはさらに強くなった。
「真司さんとはタイミングが合えば一緒にご飯に行かせてもらう関係で、尊敬している先輩のひとりです。もしかしたら一番尊敬している先輩かもしれないですね。この人の考え方についていこう、そう思える先輩です。ご飯を食べながら話して、その度に何かしら刺激になるもの、自分の中にすっと入ってくるものを与えてくれる存在です。もちろんカタールワールドカップについても話しました。ああいう負け方もしたし、選手が感じているものと周りからの反響や扱い方にはギャップがある。それは真司さんも言っていました。(吉田)麻也さんも言っていましたけど、選手には負けて帰ってきて悔しい気持ちがある。でも日本で応援してくれたサポーターたちはよくやったと讃えてくれる。ただ、僕たちはサッカー選手だし、結局ピッチ上で価値を示すのがサッカー選手の本質。ピッチ上で自分の価値をどれだけ示せるか、その本質は忘れずにやっていきたいと思います」
「真司さんからのアドバイスの中身」
その時に、香川にもらったアドバイスがある。3年半後のワールドカップを今から頭に入れ計画的に日々を過ごしていくこと――。それまで冨安は、所属するクラブで全力を尽くすことが結果的に日本代表にも繋がると考えていた。しかしそれまでの思考を切り替え、頭の中に次のワールドカップをおくことにした。
「正直、カタール大会はワールドカップのために4年間準備して挑んだわけじゃなかった。アーセナルで、自分のチームで日々やっていることがワールドカップに繋がっていればいい。僕はいろんなところでそう言っていました。でも真司さんから、ちゃんとワールドカップに向けて4年間準備した方がいいという話をしてもらった。真司さんも2014年から2018年までの4年間をしっかり準備して挑んだという話を聞いて。なので次の大会には、ここから3年半しっかりと準備をしていこうと思っています」
3年半という時間をかけて進めていく準備。負傷を減らし、シーズンを通して万全のコンディションを維持するという思いは強い。初めてのワールドカップは負傷により満足の行くものとはならなかった。少しでも怪我を減らすため、新たに始めたこともあれば、逆に止めたルーティーンもある。その足元にも、新しい変化を加えた。
「スパイクはサッカー選手にとっていちばん大事なもので、選手の身体の一部でもある。その意味でもベストの選択をしなければいけない。アシックスは日本の企業ですし、しっかりとディスカッションしながら一緒に細かくスパイクを作っていける。実際に履いてみた感触もいいですね。もともと高校時代にも履いていましたし、フィット感にはいい印象がありました。このまま話し合いながら、いい方向に向かっていければと思います」
<前編から続く>
冨安健洋(とみやす・たけひろ)
1998年11月5日、福岡県生まれ。アビスパ福岡のユースから飛び級でトップチームに昇格し、17歳でJリーグデビュー。その後、シント・トロイデン、ボローニャを経て、2021年8月、アーセナルへ移籍した。2022年W杯は3試合に出場。代表通算32試合出場、1得点。187cm、84kg