130キロ前後のカットボールを多めに投げて、140キロ前後の速球を「快速球」に見せ、ツーシームで勝負。チェンジアップも交えて打者をのめらせ、持ち球全てをコントロールできる。

　困った時に投げられるボール（ツーシーム）があって、さらに立ち上がりからボールが上ずらない。これだけのサイズがあれば（185cm90kg）、自然とある程度の角度は生じる。だが、程よい我流というのか、一瞬、腕の振りが遅れるメカニズムが、打者にそれ以上の角度とタイミングの難しさを感じさせている。明治大の強打者たちが1人として、ジャストミートできなかった事実がこのことを証明している。

　左打者の内角を突く技術も身につけつつあるように見えて、タイプとしては、元中日・山本昌投手か。「打ちにくい」という財産は、調子の良し悪しに左右されにくく、「150キロ」を上回る価値を感じている。

来年のドラ1候補・大学生ピッチャー【2】大阪商業大・高太一

　大阪商業大では、右腕のエース・上田大河投手（3年・182cm86kg・右投右打・大商大高）のほうがひと足先に来年のドラフト上位候補に挙げられている。だが、その同期にこんな伸びしろ抜群のサウスポーが隠れていたとは……これだから「学生野球」は興味深い。

　この秋のリーグ戦4勝無敗・防御率1.23……抜群の安定感で投げまくった高太一投手（3年・183cm80kg・左投左打・広陵高）。

　弾力と均整抜群の体躯、テークバックから左手のリフトアップ、時計の文字盤で「1時」ほどの高い角度から投げ下ろす腕の振り……鍛えれば鍛えるほど、いくらでもスピードアップしていきそうな素直な投球フォームが、この左腕の最大の伸びしろだ。

　最速153キロと聞いたが、140キロ前半でも十分打者のスイングの上方を通過していくホップ成分豊かな速球を投げる。7、8分の力感で投げるこのぐらいの球速帯のほうが、生きたボールになっている。

　この大会では、先頭打者にボールが上ずったり、気負いが見えたり、表情にも余裕がないように見えたが、広陵高当時は4番手ぐらいの投手だったという。エースが、今年の広島5位・河野佳（大阪ガス）。左腕では明治大の背番号1・石原勇輝も同期。この先1年、ノドがひりつくような大舞台で、強豪相手に投げる経験をたくさん積みたい。

　満塁のピンチで、左打者の膝元にきめたチェンジアップと、直後に空振り三振を奪ったアウトローのスライダー。首を巧みに使った一塁けん制技術に、確かなフットワークの守備ワーク……キラリと光る瞬間を、こちらも見逃してはいない。

“再来年”のドラ1候補・大学生ピッチャー【1】関西大・金丸夢斗

　再来年のドラフト1位候補と見なした2人の左腕は、共に、高校時代にその存在を知らなかった「2人」だ。

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