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甲子園の風BACK NUMBER
2度のドラフト指名漏れも「もう1年、夢が見られる」元近江高・有馬諒…社会人名門で切り拓く道「チームを勝たせる捕手に」〈甲子園の主役の現在地〉
posted2025/12/30 11:10
社会人3年目となる新シーズンに飛躍を期すENEOS・有馬
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
NumberWeb
〈甲子園の主役の現在地〉社会人の名門・ENEOSの司令塔を担う有馬諒捕手。近江高2年時の2018年夏の甲子園大会では、金足農業との準々決勝で2ランスクイズを許し“悲劇の主役”として高校野球ファンの心に刻まれた。ドラフトの指名漏れも経験し、試練を糧に切り拓いてきた道のりをNumberWebのインタビューに語った。〈全2回の後編/前編から読む〉
◆◆◆
「9回無死満塁からの2ランスクイズ」――。金足農業の大躍進を象徴する歴史的場面の“悲劇の主役”となった有馬。しかし、その野球人生は常に王道を歩み、数々の大舞台に愛されてきた。
近江高時代は1年生から先発マスクを被り、2年時には正捕手として春夏の甲子園に出場。3年夏は主将として再び夏の甲子園に帰還した。その後、進んだ関西大学では、2年秋から主戦マスクを被り、関西学生野球の秋季リーグで3度の優勝を果たした。
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「技術面のスキルアップができたと同時に、チームが勝つまでのプロセスというところを学べたことが大きかったです。同じチームと何回も対戦するので、データを駆使する方法など基盤も身につけることができたと思います」
金丸とのバッテリー、同じ“9回無死満塁”で…
関大での4年間で、忘れられない試合があるという。4年生だった2023年9月25日、秋のリーグ戦で首位攻防の立命大戦。1勝1敗のままもつれ込んだ3回戦で、延長戦を制し2−1で勝ち切った。
この試合で有馬は、勝ち越し点の契機となる三塁打など3安打を放っているが、心に残っているのは1学年下の金丸夢斗(現・中日)をリードした9回裏の守備だ。1−1で迎えた“9回無死満塁”。まさにあの夏、甲子園の悲劇と重なるような因縁の場面に出会した。

