関西大・金丸夢斗投手（2年・177cm77kg・左投左打・神港橘高）の「神港橘」は、かつての「市立神港高」。160キロ出ていたのでは…といわれる元阪急・山口高志投手や、巨人9連覇の後半にレギュラーマスクをかぶった吉田孝司捕手が巣立った兵庫の名門だ。

　2016年、同じ神戸市立の兵庫商業高と統合されて、神港橘高になったことは、私も知らなかった。

　今秋6勝無敗で防御率1.33……54イニングで46奪三振はリーグNo.1。MVPも獲得したという。

　左腰後方に引っ張るテークバックなのに、トップでボールを握った左手より上に持って来られる肩甲骨の可動域の広さ。試合開始のスタートから、145キロのクロスファイアーを、左打者の外いっぱいにきめてきた。

　そのタテと斜めの角度が合成されたようなクロスファイアーのベストボールを、やはり左打者のアウトローに3つ続けた見送り三振。151キロにまで達して、もう「プロのボール」だ。

　逆球の左打者内角の137キロでも、ヒットにならない強烈なバックスピン。一、三塁のピンチで両サイドに145キロ前後の速球をきっちり投げ分けて、スライダー、チェンジアップで三振を奪えるベストな投げっぷり。この「実戦力」が秋のMVPにつながった。カットボールやスプリットも交えて、打者の奥行きも使える「緩急」もある。

　こんな場面があった。

　 1年上の有馬諒捕手（3年）からの返球を弾いて、追って拾ってくれた高田幸汰遊撃手も1年先輩なのに、何事もなかったように平然としている。

「ピッチャーだなぁ……」という反応と、“礼儀知らず”という反応のふた通りあるのだろうが、私の場合は前者だ。 

　珍しくワインドアップで投げる投手だから、振りかぶったグラブの中の握りが見えそうだったが、現状、心配すべき点があるとすれば、わずかに「そこ」のみのように見える。

“再来年”のドラ1候補・大学生ピッチャー【2】環太平洋大・徳山一翔

　同じ日の1回戦で、国際武道大を7回無安打無失点に抑えた環太平洋大・徳山一翔投手（2年・176cm84kg・左投左打・鳴門渦潮高）。

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