——スペイン戦は前線からのプレスが勝負の鍵になりますか？

トルシエ　スペインのミスを誘い、彼らからボールを奪う。そのために90分間プレスをかけ続ける。しかしそれを実践するのは簡単ではない。日本が引き分けることは十分に可能だが、引き分けでは駄目だろう。その意味でも今日の日本がコスタリカ戦で失ったものは大きい。ドイツ戦の勝利で得たアドバンテージのすべてを日本は手放してしまった。

——本当に残念でした。

トルシエ　あれだけの勝利を得たのだから、少なくとも今日は引き分けるべきだった。今はすべてが不確定だ。希望を持ち続けるためには、最低でも勝ち点1が必要だ。

——スペインに勝つのはドイツに勝つよりも難しいとあなたは言い続けていましたが、今もそれは変わりませんか？

トルシエ　スペインは技術で日本を上回っている。とりわけボールを失わないスキルに優れている。またスペインは、コレクティブに日本からボールを奪うことができる。攻撃も危険で、どんなところからも得点のチャンスを作り出す。日本戦が負けてはならない試合であることを彼らはよくわかっている。2試合を戦った疲れはあるが、日本が勝利を得るのは私が思うにはほとんど不可能……ミッション・インポッシブルだ。

　もちろんサッカーではすべてが可能で、勝ち点1を得るのは十分にありうる。引き分けならスペインも勝ち点5で、首位で通過できる可能性が高い。そこはポジティブなところで、スペインは日本に勝つ必要はない。それは日本にとってもアドバンテージだが、日本が引き分けで十分かと言えばそうではない。

現実的には勝利が必要なスペイン戦で、森保監督がどんな采配を見せるか注目される　©Koki Nagahama/JMPA

引き分ける可能性は五分五分だ

——コスタリカもドイツに勝てば突破できます。

トルシエ　引き分けでも可能性が広がり、日本がスペインに敗れれば彼らが突破を決める。スペインとドイツが有利ではあるが、すべては不確定で、日本が引き分ける可能性は五分五分だ。

——50％ありますか？

トルシエ　どちらも勝ち点1を得られる。繰り返すがスペインが勝つ必要がないのはアドバンテージだが、スペインを破るのはミッション・インポッシブルだ。

——20回ないし30回戦って一度勝てるかというところですか？

トルシエ　勝利に関してはそうだ。しかし日本は守備面で心理的なアドバンテージを得るだろうし、スペインも本気で攻撃する必要がない。ボールを失わずにゲームを支配できればそれでいい。フィフティフィフティというのはそういうことだ。日本が自力でなんとかできるのは50％だけだ。これでいいか？

——十分です。新たな手術の日取りは決まりましたか？

トルシエ　一週間以内にできればいいと思っている。

——わかりました。メルシー、フィリップ。