入団前から「すぐに海外に行きたいです」

　自分の中に明確な芯があり、決してブレない。三笘にとっての大学サッカーは、「プロになるため」ではなく、「プロとして飛躍するため」の4年間だったとも言える。

　付け加えると、川崎入団前から「すぐに海外に行きたいです」と海外志向も隠すことなく口にしていたという。これにはさすがの向島も苦笑いした。

「いや、まだ入ってもいないのに、そんなこと言うなよ……とは思いましたけど（笑）。『活躍したらいいよ』と伝えていましたが、本当にすぐ活躍しましたね。ただ薫に関しては、間違いなくそのレベルにありましたから。Jリーグでというより、海外でやれる能力を示していたので、僕らとしても『挑戦した方がいい』という考えになりました。新人なのに外国人助っ人級、あるいはそれ以上の活躍をしてくれたと思います」

　川崎に1年半在籍したのち、三笘はイングランドのブライトンに完全移籍。ベルギーのユニオン・サンジロワーズへの期限付き移籍を経て、今夏にはブライトンに復帰した。11月5日の試合ではプレミア初ゴールも記録しており、W杯本大会でも世界を驚かせるような輝きを期待したい存在だ。

敏腕スカウトの期待「彼らが一緒にピッチに立てば…」

　三笘は大学経由でプロになったが、板倉、田中碧、久保建英（U-10まで在籍）と同じく川崎のアカデミー出身者でもある。

　彼らがカタールW杯のメンバーに選出されたこともあり、三笘だけではなく、自分が関わった選手たちの大舞台での活躍を、向島は楽しみにしている。そして「彼らが一緒にピッチに立てば、きっと面白いサッカーをやると思うんですけど……。世界はそんなに甘くないですかね（笑）」と、いつもの優しい笑みを浮かべた。

　いやいや。みんな、きっとやってくれますよ。

＜#3谷口彰悟編へ続く＞

#3に続く

大津高時代の谷口彰悟にアプローチ、しかし返答は「大学に行きたい」…川崎F現キャプテンを追い続けたスカウトが称える“完璧な人間性”

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