「父親ですけど夜は友達みたいな」三浦知良（57歳）が語る亡き父・納屋宣雄のこと…カズが最後に交わした会話「あの時の親父の顔が忘れられない」

カズが語る亡き父との“最後の会話”

　父の納谷宣雄は、僕に人生の楽しさを教えてくれました。

　世の中の皆さんがイメージする「父親」とは違い、とにかく豪快で、自由人。でも僕たち子供には優しくて、何でも言うことを聞いてくれました。

　何かを強制することはありませんでしたが、サッカーだけはとにかく一生懸命やれと言われました。サッカー9で勉強1の割合でいいというくらいでした。

　すべてにおいて一生懸命にエンジョイする性格で、サッカー以外のこと、例えば夜の遊びや女性のことを教えてくれたのも親父でした。いろんな楽しみを教えてくれた人生の師匠です。

「親父はいろんな楽しみを教えてくれた人生の師匠」と語るカズ　©︎Kiichi Matsumoto

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　一緒にラスベガスでカジノも楽しみましたし、ブラジルでもよく遊びました。父親ですが夜は友達みたいな。

　僕も自分の子供達にはあまり否定的なことは言わないようにしています。好きなことを諦めずに夢を持ってやれと。親父は僕に「夢を追いかけろ、諦めるな」とは言いませんでしたが、僕自身は諦めずにやってきたので、子供達には自分の体験から思うことを伝えているだけです。

　親父と最後に交わした会話はサッカーのことでした。

　昨年7月中旬、僕がポルトガルにもう1シーズン行くという時で、飛行機に乗る2日前に静岡に会いに行ったんです。

　親父はすでに余命を言われていました。でもまだこの頃は元気でした。車で僕を静岡駅に送ってくれる道中、「もう1年ポルトガルに行って、本当に試合に出られるのか」と聞いてきました。前シーズンの半年間の僕の立場やプレーを見て、親父なりに心配してくれていた。「僕の意志は伝えてあるし、いい返事をもらっているから大丈夫だよ」と答えました。

親父の顔が忘れられない

　僕は、親父にはもう会えないだろうという覚悟でポルトガル行きを決めていました。

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