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《衝撃価格》国立にもある巨大な“H”型のラグビーのゴールはまさかの700万円超! その分突風、荒天にも余裕で耐える
posted2022/01/30 11:00
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
Takuya Sugiyama
グラウンドに聳え立つ巨大な“H”。ラグビーゴールの高さをみなさん知っていますか。
実は正確に決まっているわけではない。ルールブックには幅5.6m、クロスバー上端部の高さは3mと厳格に決められているが、ポールは3.4m以上あればいいと記されている。
もちろん基準はあり、学校など一般のグラウンドは7mや9.2mが多く、大きな大会になると13m、これがワールドカップになると17mになる。ビル6 階に相当する高さだ。
さて、これだけ長いものをどんな形で立てているのか。てっきり穴に差し込んでいるのかと思いきや、「ルイ高」が2015年に開発した17mのゴール「RT-R030917」は違った。
管理営業部責任者の岩藤浩司さんが明かす。
「グラウンドに埋めた約1.5立方メートルの巨大なコンクリートの基礎の上に、強力な蝶つがいを介して立てています」
予想を大きく裏切る答えに、筆者は思わず「マジすか!?」と大声を上げてしまった。
「ゴール後方に柱を立て、そこに取りつけたウインチを巻き上げる形で、蝶つがいに取りつけたポールを起こしていきます。これは起倒式という弊社独自の工法で、以前は特許を取得していたもの。秒速30mの突風にも十分に耐えられる強さがありますが、そんな天候下ではゲームは間違いなく中止でしょうね」
お値段は衝撃の770万円(税抜き)!
さて、気になる「RT-R030917」のお値段は、なんと770万円(税抜き)。阪神のリリーフカーが保持していた、当連載最高価格が大幅に更新された。ただこの値段、よくよく考えればリーズナブルと言えそうだ。
「たしかに初期投資の費用はかかりますが、トータルで考えればコストは抑えられます。というのも従来のラグビーゴールは、設置、撤去に重機を搬入しなければならず、同時に人手がかかったからです。起倒式を採用した弊社の17m、13mのゴールは重機不要で、13mのゴールは4人もいれば十分。しかもポール1本、10分程度で立てられます。重機を使わず、ポールの下に人が入らなくても立てられるので、安全性も確保されています」
「RT-R030917」は現在、東京・国立競技場をはじめ、宮城・石巻市総合運動公園、神奈川・小田原市城山陸上競技場、京都・サンガスタジアム by KYOCERAの4会場に採用されている。
選手も観客もいないグラウンドで行なわれる、ゴールの設置、撤去。舞台裏の作業でも、世界最先端の技術が駆使されているのだ。