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苦戦の三笘は“ほぼ当確”か? 激戦の東京五輪メンバー「勝ち残った選手」と「当落線ギリギリにいる選手」とは
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2021/06/13 17:03
12日のジャマイカ戦で東京五輪メンバー選考マッチが終了した。発表される瞬間まで、当落ライン上で多くの選手がその座を狙っている
だが、最大のアピールの場となるべきA代表の試合で前半に2点を奪われ、交代。その後、ガーナ戦、ジャマイカ戦とアピールするチャンスがなかった。
一方、ジャマイカ戦で途中出場した鈴木彩艶はデビュー戦ながら安定していた。
浦和で西川周作からレギュラーを奪いつつあり、粗さはあるもののシュートストップなどのセービングの技術が高く、キック力があり、まだ18歳で将来性もある。パリ五輪の世代だが、世界大会を経験することで次にも生かせる。
GKは一度、ポジションを失うと取り戻すのが非常に難しい。谷晃生がレギュラーを手中に収め、後輩の突き上げが激しいなか、大迫は微妙なポジションに立たされている。
CB)町田か、それとも猛アピールの瀬古か?
センターバックの争いは、熾烈だ。
中2、3日で決勝まで6試合を戦う過密日程で、しかもメキシコ、フランスという強豪が相手のグループリーグを突破し、決勝トーナメントでは世界の強者との負けられない一発勝負がつづく。その連戦をセンターバックが無傷で戦い通すのは難しい。スタートは4バックだが、ジャマイカ戦の後半のように3バックにシステムを変更するケースも出てくるだろう。
また、ジャマイカ戦直前の9日には怪我のため冨安がチームを離脱。その状態が気になるが、不測の事態を考えておく必要がある。そうしたことを踏まえると、本職のセンターバックが必要になる。
ガーナ戦までは、町田浩樹が吉田、冨安につづくポジションをキープしていた。
「東京五輪を目標にやってきました。鹿島で試合に出ているので、今は自信をもってやれている。(U-24日本代表に)残りたいという気持ちが非常に強いです」と語るように、強い覚悟で選考レースに臨んだ。だが、A代表での試合では3失点を喫し、ほとんどいい場面を見せることなく終わっている。ガーナ戦は出番がなかったがジャマイカ戦はスタメン出場を果たし、名誉挽回のチャンスをもらったが、町田の特徴である空中戦の強さを見せるシーンや左脚の精度の高いキックから攻撃に繋げるシーンがほとんどなく、前半45分で交代になった。
町田に代わって後半から出場したのは、瀬古歩夢だった。
怪我で離脱した冨安の代わりに追加招集された瀬古は、「正直、もう可能性はないと思っていました。最初のメンバーに入れないと思った時は……。今回、怪我人による追加でも選ばれたのは嬉しかった。もう一度、アピールのチャンスをもらったので、しっかりやらなあかんなと思いました。もうやる気もりもりです」と、アピールに並々ならぬ決意を見せていた。実際、その気持ちはプレーにも反映されていた。もともと3月のアルゼンチン戦で好プレーを見せており、森保一監督の評価は非常に高かったが、ジャマイカ戦では相手にほとんど仕事をさせなかった。