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ハリル解任の可能性と言うけれど。
暫定は手倉森体制が濃厚、その次は?

posted2017/08/29 11:30

 
ハリル解任の可能性と言うけれど。暫定は手倉森体制が濃厚、その次は?<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

監督の求心力を最も直接に左右するのは、試合の結果である。ハリルホジッチ監督はオーストラリア戦に向けて何を用意しているのだろうか。

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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Takuya Sugiyama

 次が誰になるのかは、誰にでも想像がつく。

 ただ、その先の道筋となると、不透明感が一気に増していく。

 8月31日に行なわれるロシアW杯アジア最終予選で、日本がオーストラリアに敗れるようなことがあったら。チームを率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督が解任される、との噂がある。

 オーストラリアに勝ち点3を奪われると、9月5日のサウジアラビア戦に勝たなければW杯出場の2位以内を確保できない。西野朗技術委員長が「オーストラリア戦にすべてフォーカスしている」と話しているように、すべてを注いでいるぶんだけ、“まさかの事態”に陥った際のダメージは大きいと予想される。それまでの流れを断ち切るために、新たなリーダーのもとで敵地へ乗り込むのは選択肢としてアリである。

サウジ戦を手倉森コーチに任せるのは合理的な判断。

 緊急事態に陥ったチームは、誰に託すべきか。手倉森誠コーチの昇格が現実的だ。

 オーストラリア戦からサウジ戦までの猶予は、わずか5日間しかない。新たな戦術を持ち込む余裕はなく、メンタリティの回復が何よりも必要だろう。

 手倉森コーチは類まれなモチベーターであり、チームの一体感を醸成する言葉と熱意を持つ。J2からJ1へ引きあげたベガルタ仙台を優勝争いできるクラブへ押し上げ、'16年1月のリオ五輪アジア最終予選でU-23日本代表をアジアの頂点へと導いた。限られた時間でチームを建て直すには、これ以上ない人材と言っていい。

 アジアを勝ち抜くという意味では、リオ五輪への道のりが価値を持つはずだ。ドイツ人のウリ・シュティーリケを解任した韓国が、U-20とU-23の代表を指揮してきた申台龍(シン・テヨン)を後任に指名したのも同じ理由だろう。

 日本代表にはハビエル・アギーレ元監督の指揮下から関わっているだけに、手倉森コーチはチームの現状はきっちりと把握できている。代表選手とも良好な関係を築いてきた。ハリルホジッチ監督の意図を選手に伝えたり、選手の意見を吸い上げたりしながら、チームを側面からサポートしてきた。

 リオ五輪アジア最終予選で本田圭佑、長友佑都、香川真司らがチームの士気を高めるモチベーションビデオに登場したのも、積み上げてきた信頼関係があったからである。

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