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サッカー界でも“お受験戦争”が勃発? 小6セレクション倍率は300倍、合格者ゼロも…J下部組織入りが「超難関」の理由

posted2022/02/04 11:06

 
サッカー界でも“お受験戦争”が勃発? 小6セレクション倍率は300倍、合格者ゼロも…J下部組織入りが「超難関」の理由<Number Web> photograph by Masayuki Sugizono

取材に応じてくれたFCトリアネーロ町田の若山聖祐監督。20年には全国制覇を達成している

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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Masayuki Sugizono

 最難関の部類に入る『中学受験』かもしれない。夢追うサッカー少年が『一般試験』で狭き門をくぐり抜けるのは奇跡に近い。

 毎年、Jリーグクラブの下部組織が夏から秋にかけて小学校6年生を対象に実施するセレクションの競争倍率は、首都圏と関西圏で300倍以上になることも珍しくないという。受験生にとって酷なのは、年によっては合格者ゼロもざらにあることだ。

 2020年のJFA全日本U-12選手権(全日本少年大会)で初制覇を果たし、毎年のようにJクラブの下部組織に選手を送り込んでいるFCトリアネーロ町田の若山聖祐監督は、昨今の実情について次のように語る。

「一般セレクションでは、ほとんど受からないですね。うちからJ下部(Jリーグの下部組織)に行く選手たちは、基本はみんなスカウトされています。今年、FC東京と横浜F・マリノスに入る選手たちもそうです。クラブによっては声をかけた選手たちを練習会に呼んで選考することもありますが、一般募集とはまた別物です」

小中学生をチェックする専属スカウト

 Jの各クラブとも1学年の定員は20人弱。ジュニア(小学生年代)カテゴリーを持つ場合は、一定数を内部昇格させ、そのほかをスカウトで集めている。近年は各クラブとも情報網を張り巡らせているため、才能が埋もれていることなどごく稀。J1・J2の主要クラブは小中学生をチェックする専属スカウトを配置し、公式戦だけではなく、トリアネーロ町田のような育成実績を持つチームには練習試合まで視察に行くほどである。

 特に目立つ選手であれば、小学校5年生の時点で声がかかり、6年生を迎える前にクラブと確約を交わすこともある。一般的にJ下部に進む6年生の進路は遅くても6月から7月までには決まり、この時点でクラブの定員数はほぼ埋まるのだ。

【次ページ】 それでもセレクション受験を止めない理由

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