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「監督就任に異例の抗議も…」パワハラ処分から3年、アビスパ福岡で始まる金明輝の第二章「監督を信じている」選手の本音と揺れるサポーターの胸中

posted2025/02/19 11:00

 
「監督就任に異例の抗議も…」パワハラ処分から3年、アビスパ福岡で始まる金明輝の第二章「監督を信じている」選手の本音と揺れるサポーターの胸中<Number Web> photograph by J.LEAGUE

今季からアビスパ福岡の監督に就任した金明輝(43歳)

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キム・ミョンウ

キム・ミョンウKim Myung Wook

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J.LEAGUE

 J1アビスパ福岡の本拠地・ベスト電器スタジアム。2時間後に始まる開幕戦を前に、30代男性サポーターは複雑な胸の内を明かしていた。

「(これまでのようにサポーターたちが)ゴール裏でちゃんと応援してくれるのかなって気にしていて……ここでバラバラになるのが一番よくないなと思っています。監督が決まったからには応援したい。そう思って、今日ここに来ました」

金明輝の就任に反発したサポーター

 昨年12月、福岡は金明輝(43歳)を新監督に招聘した。

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 金監督は、2021年12月にサガン鳥栖の選手やスタッフへの暴力行為や暴言などいわゆる“パワーハラスメント行為”があったと認定され、翌22年3月には日本サッカー協会(JFA)よりコーチライセンスをS級からA級(ジェネラル)へ降格処分を受けている。

 その後、再起を図るべく22年オフにFC町田ゼルビアのヘッドコーチに就任すると、黒田剛監督の右腕としてJ2優勝に貢献し、24年はJ1優勝争いを演じた。再びS級ライセンスを取得し、社会奉仕活動や研修プログラムをこなしてきた。

「自分の変なプライドはすべて捨てて、もう一度、一からすべてを学び直す気持ちで取り組みました。自分に与えられたJFAのカリキュラム、復帰へのプログラムにもしっかりと取り組んできたつもりです」

 つまり「一からの出直し」を経て福岡にやってきたわけだが、それでも金監督への風当たりは強かった。

 監督就任をめぐる報道をきっかけに福岡のサポーター団体・ウルトラオブリが公式Xでクラブに対して抗議声明を投稿。また、正式発表後には2007年からスポンサーとなっていた「株式会社ふくや」も2025年1月31日でスポンサー契約が満了となることを発表した。支援を完全に打ち切ったわけではないものの、金監督の就任を受けての対応だった。

 この事態に対して金監督自身も「重々、承知はしていました」と慎重に言葉に選ぶ。

「過去の問題に関しては、今も私の中では許されたものとは思っていません。何かを話すたびに言い訳のように聞こえてしまう部分も大いにあるので、すべて真摯にとらえてその後の行動に移しました」

 謝罪から始まった異例の幕開け。応援する側にとっても、不安と期待が入り混じったオープニングマッチだったというわけだ。

【次ページ】 開幕黒星スタート、課題は残ったまま

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