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井手智がドイツ移籍に求めるもの。
リベロはレシーブだけじゃない。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byAFLO
posted2020/08/31 11:30
6年間過ごした東レを離れ、ドイツリーグのユナイテッド・バレーズ・フランクフルトでプレーすることを決断した井手智。
「やれることは、全部やる」
海外リーグでプレーするという最初の目標を叶えたとはいえ、もろ手を上げて喜べるかと言えばそうではない。
コロナ禍での経済不況や、企業チームを母体とする日本のリーグ形態から生じる欧州クラブとの契約面に関するデメリット。むしろ「会社員だった頃はいかに守られていたか痛感した」と言うように、フランクフルトとの契約は望んだ条件には程遠く、日本に残す家族との生活を支えるには十分とは言い難い。
先の見えないこの先に考えを巡らすたび、確かに不安は尽きない。だが、いかなる「もしも」が訪れようも、大事なのはまず、一歩踏み出すこと。
「何で動かなかったんだろう、と思うのはもう嫌。1人の選手としてはオリンピックに出ることではなく、オリンピックで一番いい色のメダルを獲ることが目標なので、そのためにやれることは、全部やりますよ」
ゴールはまだまだ、ずっと先。ここからが、スタートだ。