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井手智がドイツ移籍に求めるもの。
リベロはレシーブだけじゃない。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byAFLO
posted2020/08/31 11:30
6年間過ごした東レを離れ、ドイツリーグのユナイテッド・バレーズ・フランクフルトでプレーすることを決断した井手智。
このままでは終わってしまう。
それから月日が流れ、2016/17シーズンにVリーグを制覇。日本代表での経験も重ねた'19/20シーズンはすべての試合にリベロとして出場したが、最終結果は6位。
ここで動かなければ、このまま終わってしまうかもしれないとこれまで以上の危機感を抱いた。
家族を説得し、東レには海外でプレーする意思を伝え、退社した。具体的にエージェントを通して動き始めたのは今年の2月。複数クラブからのオファーを受けるも、新型コロナウイルスの感染も拡大し二転三転を繰り返した後、ようやく7月にドイツリーグのユナイテッド・バレーズ・フランクフルトと契約を締結。'17年の大竹壱青、昨季の柳田将洋に続き、井手は同クラブ3人目の日本人選手となった。
日本人リベロは重宝される?
井手が最初に海外でプレーしたいと望んだ頃と比べ、近年は柳田や石川祐希、福澤達哉など海外でプレーする日本人選手も増えている。
特に昨シーズンはドイツリーグに柳田、川口太一、渡辺俊介と同時に3選手が、ポーランドには古賀太一郎、高橋頌が在籍。柳田を除く4選手は全員井手と同じく、ポジションはリベロだ。
遡れば、'18年にフランスのパリバレーに在籍した本間隆太や、女子バレー日本代表のリベロとして活躍し、フランスやアゼルバイジャン、トルコなど欧州各国でプレーした佐野優子など、海外でプレーした日本人リベロの多さは特に目を引く。
実際にグラチャンでの井手や佐野に限らず、シニアやアンダーカテゴリーのジュニア、ユースの世界選手権ではベストリベロを受賞した日本人選手は多く、そのレシーブ力は海外でも評価が高い。ポーランドで3シーズン、フィンランド、フランスとのべ5シーズンを海外で過ごしたプ古賀も「日本は育成年代からスキル練習をものすごくするので、単発レシーブのスキルはかなり高いレベルにあるのは間違いない」と言う。