プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人・亀井善行の凄い“触媒能力”。
1番か5番に入らねば、打線が不調に。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2020/08/11 18:00
今年38歳になったベテランの亀井。渋い打撃と好守でチームを支えている。
坂本、丸、岡本の主軸トリオとつなげて線に。
しかも亀井の触媒能力は、1番だけではないところが、また貴重なのだ。
実は今季の開幕戦で5番を打ったのが亀井だった。
8月9日の中日戦までで今季、最も多く5番を務めているのは大城卓三捕手の13試合で以下、中島宏之内野手の11試合、ゼラス・ウィーラー内野手の8試合と続く。
ただ大城が出遅れ、トレードでウィーラーを獲得するまでの間を中心に、5試合で5番を任されていたのも亀井なのだ。
今季の巨人の強さは選手に様々な役割を与え、相手投手との相性やその日の打撃練習での状態などを勘案しながら、ベストオーダーを組んできたことにある。結果的にはその打線がことごとく機能して、それが首位を走る大きな要因となっている。
そしてその中で固定できない1番と5番で、その日の打線の足りないところを埋めてきたのが亀井だったのだ。
その日、その日で1番でも5番でも、亀井が入ることで坂本勇人内野手、丸佳浩外野手、岡本和真内野手の主軸トリオとつなげて線にしてきた。そんな役割を果たす亀井がいたからこそ、猫の目打線は成り立っていた訳だった。
困ったときに亀ちゃんがいない。
ところが、だ。
困ったときに亀ちゃんがいない。
開幕から快調に飛ばしてきた巨人が、ちょっともたつき出したのは8月5日の阪神戦あたりからだった。
この日の試合こそ岡本、大城の連続適時打などで4点を挙げて白星を飾ったものの、安打数はわずか4本。ここから5試合連続5安打以下と打線の不調が続いて、翌6日の阪神戦から中日戦とカードをまたいで3連敗を喫した。
9日の中日戦も何とか2点を取って引き分けに持ち込んだが、放った安打はわずかに5本。シーズン序盤の爆発力がすっかり影を潜めてしまっているのである。