プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人・亀井善行の凄い“触媒能力”。
1番か5番に入らねば、打線が不調に。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2020/08/11 18:00
今年38歳になったベテランの亀井。渋い打撃と好守でチームを支えている。
亀井が語った「1番論」とは?
チームのリズム、打線の流れを作っていく上でも、打線にあたりが止まっているときこそ1番の役割は大きくなる。
そんなときに亀ちゃんの不在を最も重く受け止めているのは、原監督自身なのである。
「もちろんヒットを打つことが第一だと思います。初回の打席に先頭バッターがヒットを打つと、チーム全体に『いけるぞ!』というムードも出るし、勢いがつく。
ただ追い込まれるとどうしてもヒットを打てる確率も下がってしまうので、そこではいかに相手投手の全球種の球筋を見せられるか。ファウルで粘って球数を投げさせて、相手の持っている球種を使わせる。やっぱりそこが自分の役割だと思っています」
以前に亀井に聞いた「1番論」だ。
アウトになっても、あっさりとは引き下がらないトップバッターがいるから、2番以降の打撃が楽になる。坂本や丸を助ける存在としても、いま必要とされているのが亀井のような1番打者ではないだろうか。
原監督が若手選手たちに求める1番像も、まさにそこにある。
亀井抜きでのチームの骨格作りを目指した2020年は、コロナ禍で何もかもが計算通りとはいかないシーズンになってしまった。
それでも2月のキャンプで原監督はこうも語っているのである。
「いまは理想論としてそう考えているけど、現実論として、亀ちゃんはまだまだ柱の選手ではあるとは思いますけどね」
だからこそ亀ちゃんの完全復帰を心待ちにする。