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侍ジャパン「ポスト栗山英樹」が難航する理由 松井、イチローは「なし」で浮上する名前と次期監督に必要な「勝つ」こと以外の条件
posted2023/06/09 11:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
JIJI PRESS
日本中を熱狂の渦に巻き込んだ第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の優勝から2カ月余。5月31日をもって栗山英樹監督が退任し、6月1日から「侍ジャパン」は新しいステップへと踏み出した。
その第1歩となるのが、代表監督の選任となる。実は3月の大会終了後からNPB内部では栗山監督の続投を望む声が大きくあり、実際に水面下で何度も栗山監督本人との話し合いも持たれてきたと聞く。しかし最終的に本人の退任の意思が固く、続投は消滅。新たな人選を進めることになったが、これが想像以上に難航しそうなのである。
代表監督の選任が難航した例で思い出されるのが、2009年のWBC第2回大会のケースだ。
レジェンド「ON」が率いて…
それまでずっとアマチュア野球の領域だった日本代表という枠組みに、プロ野球が本格的に関わり出したのは04年のアテネ五輪からだった。この時初めてオールプロによる日本代表が編成されて、監督もプロ野球経験者から選任することになった。そこで指揮を任されたのが巨人の監督を退いたばかりの長嶋茂雄現巨人軍終身名誉監督だった。長嶋監督は本大会を目前に脳梗塞で倒れ、アテネ五輪では中畑清ヘッドコーチを中心に戦うことになったが、それでも最終的には銅メダルを獲得している。
それから2年後の06年に第1回大会が始まったWBCでは、当時、ソフトバンクの指揮をしていた王貞治監督(現ソフトバンク球団会長)が代表監督に就任。見事に世界一に輝いた。