プレミアリーグの時間BACK NUMBER
激戦必至、プレミア優勝争い大予想。
本命は“ビッグ6”のうち……どこ?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2017/08/11 09:00
プレミア開幕を前にしたコミュニティーシールドを制したのはアーセナル。何かと批判されるベンゲル監督には嬉しい戴冠だったかもしれない。
前線にルカク、中盤にマティッチが機能しそう。
指揮官の意気込みを反映するように、パワフルなチームが出来上がりつつある。昨季故障者続出に泣いたCB陣には、若く屈強なビクトル・リンデロフを追加。そのリンデロフが標準体型に見えるほどのフィジカルを持つロメル・ルカクは、ズラタン・イブラヒモビッチに代わる新得点源となり得る。また中盤センターにはポール・ポグバをサポートする役割としてネマニャ・マティッチが加入し、ポグバの攻め上がる機会が増えている。
モウリーニョ監督は昨季EL優勝時にコミュニティシールド、リーグカップと合わせたタイトル数を意味する3本指を立てて祝っていたが、来年5月には“自身4度目のプレミア優勝”を意味する4本指を立てて祝っていても不思議ではない。
連覇を狙うチェルシーで目立った補強はモラタくらい。
ユナイテッドにルカク獲得競争で負け、マティッチを取られた昨季王者チェルシーはやや芳しくないムードだ。アントニオ・コンテ監督が憮然とした表情を見せたのは、コミュニティシールドでアーセナルに敗戦した時だけではない。チャンピオンズリーグでも優勝を目指す指揮官は、アーセナル戦を前にしたの会見でも「頭数が足らない」、「待つしかない」と嘆き、放出先行のチームに質問が及べば「同じことを何度訊く?」と苛立っていた。
コンテにすれば、開幕前の補強が2年連続で期待外れなのだから無理もない。ルカクを逃した後で獲得したアルバロ・モラタについては「適応に時間が必要」と話している。ただ現実は、構想外であるジエゴ・コスタに代わる1トップとして即戦力として期待せざるをえない。新ボランチ候補のティエムエ・バカヨコが負傷していることを踏まえると、マティッチ放出は移籍市場が閉まる8月末まで引っ張って欲しかっただろう。
とはいえ、足首の怪我で離脱中のエデン・アザールらが戻ってくれば、戦力は連覇可能なレベルにはある。ちなみに解説者となったフランク・ランパードは古巣を優勝候補筆頭に挙げている。
しかし仮に序盤戦で躓いた場合、指揮官は補強への不満を飲み込んで執念を見せてくれるだろうか。「来年の今頃コンテはいないだろう」とするジェイミー・キャラガーの予想にも現実味はある。