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バルサを出る理由は、お金とメッシ。
ネイマール移籍騒動の裏側を解説。
posted2017/08/02 12:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
これが読まれる頃には白黒ついている可能性も高い、ネイマールの件である。
2017年夏最大のトピックとなるのは間違いない今回の騒動は、7月17日の『スポルト』紙と『マルカ』紙の記事(前者の見出しは「ネイマール、バルサは居心地悪い」、後者は「ネイマールに移籍の可能性」)から始まった。
翌日、ブラジルのサッカーサイトが「ネイマール、PSGのオファーを受け入れる」とスクープすると、寝耳に水のバルサ副会長は「200%ここに残る」と移籍を完全否定。フランスのメディアも同様に反応し、中でも大手『レキップ』紙は昨年ネイマールがPSGとの交渉を利用してバルサでの年俸アップを勝ち取ったことに言及し、PSG関係者の次のコメントを掲載した。
「ネイマールのショーはもうごめん。違約金は非常に高額だし、(獲得は)現実的じゃない」
ところが、代理人を務めるネイマールの父を追ったカタルーニャラジオが、PSGが彼に約束した“成約ボーナス”の莫大な額を報じると風向きは移籍寄りに。その後ピケがネイマールと撮った写真に「残る」と付けてSNSに投稿するも、あくまでピケの願望であって、ネイマール本人は口を閉ざしたまま。それがまた移籍の信憑性を高めた。
ネイマールがPSG行きを望む理由は、やはりお金?
こんな状況にあってネイマールが自分の意志を明らかにしないのは、昨年の契約延長時、バルサが代理人(父)に約束した2600万ユーロ(約34億円)を確実に引き出すためと受け止められた。このボーナスの支払期限は去る7月31日だった。
ところで、ネイマールにPSG行きを望む理由はある。
ひとつは身も蓋もないが、お金だ。
バルサでの年俸は、少なくとも2021年までは手取りで1500万ユーロ(約20億円)。前述のとおり、PSG移籍が噂された昨年夏にバルサと合意して10月下旬にサインした額で、チーム内ではメッシに次ぐ高給である。
しかし今回PSGは、その倍額で2022年までの5年契約を彼にオファーしたとされている。加えて、受け取るのは父親ではあるけれど、くだんの成約ボーナスだ。サントスからバルサに加入した際にネイマール父は4000万ユーロ(約52億円)を受け取ったそうだが、PSGの提示額はこれを上回るという。