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<天才のルーツを探る>
8人の証言で読み解く、“ケイ”の素顔。
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byAFLO
posted2015/01/19 11:50

世界ランク5位という、日本人には夢物語だった領域に、
水の都で生まれた青年はいかにして辿り着いたのか。
周囲の人々の言葉で浮かび上がる、その強さの原点とは。
水の都で生まれた青年はいかにして辿り着いたのか。
周囲の人々の言葉で浮かび上がる、その強さの原点とは。
身長約150cmの体に、日本の未来が詰まっているように見えた。
2001年秋、中国地方の有望な小学生を集めた強化合宿のときだった。ナショナルチームのコーチだった村上武資は、水の都とよばれる松江市出身のひときわ小柄な選手のプレーから目を離せなくなっていた。
「パワーで劣る日本人がこれからどうやったら世界と戦えるのか。その答えを見つけた気がした。あんな衝撃は、もう最初で最後でしょうね」
村上は手始めにコートの半面を使い全選手とラリーを行った。小学生ぐらいだと通常、きれいに返すことばかりに意識が集中する。ところがその小学6年生はスピード、コース、回転、ポジション、軌道と、一球ごとに変化をつけてきた。
「ウォーミングアップなのに試合をやっているような感覚になってくるんですよ」
観客を飽きさせないテニス。「錦織圭ショー」の原型は、すでにそこにあった。
錦織は現在のコーチであるマイケル・チャンについてもらうまで過去、10人以上のコーチから指導を受けた。その中で、おそらくもっとも影響を受けたのが最初のコーチの柏井正樹だ。錦織は小学1年生のときに、母・恵理の同級生の柏井が所属するグリーンテニススクールに入会する。柏井の指導理念の根底に流れるのは遊び心だ。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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