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100点が1球団、60点以下は7球団。
各球団の2013年ドラフトを完全採点!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/10/25 13:00
星野仙一監督は「攻めていくところがいい。私の好きな選手です」と最大限の賛辞。松井自身は「今シーズン、パ・リーグを優勝されているチームなので、本当に強いチームに選んでもらえて本当に光栄です」とコメントした。
80点で踏みとどまったのは、捕手指名のあの球団。
●80点 西武
1位・森友哉、6位・岡田雅利(大阪ガス)と捕手を2人指名したのは、来季オフ、正捕手の炭谷銀仁朗のFA権取得と行使が予測されるからだろう。炭谷以外でも上本達之、星孝典と一軍クラスの捕手が2人控えているが、正捕手として見ると力不足は否めない。そういう事情が森と岡田の指名の裏には隠されている。
森は走攻守3拍子が、高いレベルで揃っている。3年生になって前年までの一生懸命さが、(たとえばイニング間の二塁送球などで)見られなくなっているが、実戦では二盗を防ぐ1.8秒台の強肩を披露するなど、問題はない。バッティングは最近取材した内田靖人(常総学院)、園部聡(聖光学院)という超高校級のスラッガー2人が、ともに「最も印象に残る選手は?」という質問に「森」と答えるほど高いレベルにある。
上背のなさと小太りの体型を批判する人たちには、上背のないハンディ(走者とのホーム上の接触プレー)を体重増で補っているのだから、その2つを同時に出して森を批判することはそもそも矛盾していると言いたい。
森以外では、26歳になって本格化した3位・豊田拓矢(TDK・投手)が面白い存在だ。ストレートに空振りを取れる威力があるので、西武で最も足りないリリーフとしての活躍を期待したい。
●75点 ロッテ
巨人と1位で競合した石川歩(東京ガス・投手)の交渉権を獲得したことが大きい。中部大、社会人1年目までは「投球フォームはきれいなのにストレートに目をみはるものがなくて残念」というのが記者たちの合言葉のようになっていた。それが今年の都市対抗前あたりから、明らかにストレートの威力が増してきた。
日本が優勝した東アジア競技大会では抑えの役割を果たし、その方面での適性も証明済み。とはいえロッテのリリーフ陣は内竜也、カルロス・ロサ、益田直也、松永昂大と揃っているので、まずはローテーションが回らないほど苦労した先発陣の補強が第一。とりあえず先発としての適性が試されることは間違いない。
75点と中間の評価をしたのは顔ぶれよりも、高校生の指名が少なかったため。ロッテの周辺では常に球団の身売りがまことしやかに囁かれている。選手の頑張りと好成績で現在は噂以上の現実味はないが、育成を放棄したような即戦力偏重のドラフト戦略は、私のようにドラフトで野球を見る習慣のある人間には、その噂が信憑性をもって伝わってきてしまう。身売りの噂を笑い飛ばすような、将来性重視のドラフト戦略を来年こそはお願いしたい。