「渡辺1人で勝ったようなもんですね」

　渡辺は3回戦の宇部鴻城戦では5回に0対2を追いつく2点タイムリー三塁打を右中間に放ち、このときの三塁到達タイムが11.37秒という圧倒的な速さだった。3対2で迎えた9回表には、6番笹永弥則が放った三遊間への難しいゴロを逆シングルで好捕し、素早いモーションで一塁に送球し、アウトにしている。私の横にいたスポーツライターは「渡辺1人で勝ったようなもんですね」と溜息を洩らした。

　1回戦の成立学園戦では5回、無走者で5番・木村良紀が放ったセンター前へ抜けようかという難しいゴロを二塁手の新海亮人が捕るやいなや渡辺にトスし、これを受けた渡辺が矢のような送球を一塁手に送った。私はアウトだと思ったがジャッジは間一髪のセーフで、ファインプレーにならなかった。

　準々決勝以降、8打数1安打に抑えられたのは来年以降の課題を与えられたようなもので、渡辺のスケールアップにはむしろ好材料だと思う。このまま1番でいくのか、3、4番を打つクラッチヒッター（勝負強い打者）になっていくのか、行く末を見守っていきたい。

下級生が活躍する大会は、いつも面白い!!

　今大会は、岩手大会でストレートの球速が160キロを計測した超高校級、大谷翔平（花巻東）が決勝で敗れたため、盛り上がりに欠ける大会になるのではと言われたが、松井の奪三振ショー、森友哉の圧倒的な二塁送球、そして渡辺の華やかな走攻守など、見どころが多い大会になった。

　清原・桑田のKKコンビの時代もそうだったが、下級生が活躍する大会は面白い。