ジーコ・ジャパン ドイツへの道BACK NUMBER
「順調な調整を思わせる、理想のゲーム」
text by
木ノ原久美Kumi Kinohara
photograph byTakuya Sugiyama
posted2005/02/01 00:00
日本代表は、1月29日、横浜国際競技場で行われた2005年の初試合となる親善試合でカザフスタンに4−0と快勝。2月9日のW杯最終予選初戦の北朝鮮戦へむけて、まずまずのウォームアップとなった。
「最初から飛ばしていきたい」。
試合前日にそう話していたMF遠藤の言葉そのままに、日本は開始5分にFW玉田の一撃で先制すると、11分にDF松田、24分にMF三都主のいずれもセットプレーからのゴールで3−0のリードを奪った。その後、後半15分に再び流れの中から玉田が2点目を決めた。
シーズンへ向けての調整も始まったばかりで明らかに準備不足のカザフスタンには、フィジカルでも仕上がりの順調な日本選手のプレーは手に余るものだった。試合は、さながらセットプレーを中心とした攻撃のパターン練習という展開になった。
1点目と4点目は、MF小笠原と玉田のコンビネーションからの得点で、玉田のゴールへ向かう姿勢と小笠原の相手DFの裏をつくパスワークがうまく噛み合ったもの。2点目のCK、3点目のFKからの得点も、前日までに入念に練習していたもので、練習の成果が得点という形となって出たことは、最終予選開始へむけて調整を続けるチームにとって確かな手ごたえになったはずだ。
2月9日のW杯最終予選初戦は昨年にくらべて10日ほど早いが、それに合わせて昨年より早くスタートした1月中旬からの宮崎合宿に、選手らは自主的に身体を作って集まってきていた。今年へかける彼らの意気込みの表れだったが、そのおかげで、けが人も少なく、ボールを使った練習も戦術練習も早目に取り組めることになり、調整は順調に進んでいた。
彼らの意気込みはこの日の試合でもうかがえた。これまで欧州組の影に隠れがちになっていた小笠原や松田、MF遠藤らにとっては絶好のアピールの場だったが、いずれも積極的なプレーを見せていた。中でも小笠原のプレーからは、意図的に試合を組み立てようという意識が強く感じられた。
宮崎合宿の疲れがでる、厳しい時期の試合だったが、動きもよく、セットプレーだけでなく流れの中からも点が取れたことに、ジーコ監督は「シーズン最初の試合としては理想的な形」と話し、まずは満足そうだった。
この日主将を務めたDF中澤も、「結果としては非常によかった。FWが決めたし、セットでも点を取れた。狙ったところはつけた」と言った。
とはいえ、この日の対戦相手ほどコンディションの悪いチームは、そうはない。もっと歯応えのある相手と対戦したときに、どれだけ出来るか。日本選手の試合勘もこの日の試合だけでフルに戻ったわけではない。
特に、今後は一つ一つのプレーの精度を上げていくことが、予選突破へ向けて重要なポイントになる。少なくともジーコ監督はそう考えているようで、「いかにプレーの精度を上げるか。精度が高ければ、対戦相手も阻止できないものになる」と話している。
予選本番へ向けてそれらを測るためにも、次の対戦相手のシリア(2月2日、埼玉スタジアム)には、いいコンディションで来てもらいたいものだ。