Column from GermanyBACK NUMBER
コンフェデ杯は本番への準備となったか?
text by
安藤正純Masazumi Ando
photograph byAFLO
posted2005/07/11 00:00
コンフェデ杯が終了した。全16試合の入場者総数は62万人、1試合平均では3万8750人。スタジアムのキャパから割ると、ほぼ85%が埋まった勘定になる。当初の予想は42万人だったから、収入が大幅に増加して主催者はホクホク顔だ。
客が試合中ピッチに乱入する事件が4件発生したのを除けば、おおむね運営能力に100点に近い点数を上げられる。あらゆるハード面が過不足なく整い、文字通り史上最高のW杯を迎える体制が出来上がった。
これで来年の本番に向け準備は万端、残るは開催国ドイツが優勝するのを祈るだけ……となりそうだが、「楽観論が出るほど代表チームの状況はよろしくないんじゃないですか?」と、日本同様に“自虐を喜ぶ一部の人たち”の声が聞こえる。
たしかにチームは一時の低迷からは抜け出した。クリンスマン監督の強力なリーダーシップに率いられた選手は気合が入っている。批判派もそこだけは認めるだろう。ところが伝統的にもっとも強いポジションであるセンターDFが失点続き、FWはポドルスキーを除けば心もとない、あのカーン様が2試合で6失点食らったとなると、途端に彼らは勢いを増してくる。
つまり彼らの論点はここに集約される。やれ、失点が多すぎる、チョンボを繰り返したフートは経験不足、メルテザッカーも息が合わない、FWは決定力がない、20歳が4人もいる、彼らはまだレギュラーに早いんじゃないか……と。
ちょっと待て。ベッケンバウアーは20歳で堂々のレギュラーだったぞ。フートの経験不足はチェルシーにいるんだから当たり前、これから出場回数を増やせばいい。メルテザッカーは急成長している。あれだけゴールを取った(5試合で15点)のにまだ何か?ラウール、オーウェン、ルーニーなんか10代から代表入りしてたじゃないか。
準優勝したアルゼンチンと引き分けたのはドイツとメキシコだけだった。そして不思議なほど絶好調のメキシコを下してドイツは3位になった。三段論法ではないが、“道の途中”の割にはけっこう、いい線を進んでいるということじゃないの。
クリンスマン監督は3決後のインタビューでこう答えている。「全体を通して、失点した直後の選手のリアクションが素晴らしかった。これは彼らが決して挫けない姿勢を表している。優勝はできなかったが、来年にやりとげたい。チームは大きく前進した。選手個人も成長した。我々はますますワールドクラスに近づいてきた」
嘘もハッタリもつかないことで知られる青年監督だ。少しは信じてやろうよ。