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プロ野球PRESSBACK NUMBER
ソフトバンク戦力外→中日で復活…上林誠知ら明かした“本音”「中日とホークス、何が違う?」現地取材でわかった“中日が強くなる”条件…涌井秀章も証言
text by

長尾隆広Takahiro Nagao
photograph byKYODO
posted2025/05/25 06:01
10年間プレーしたソフトバンクから戦力外通告を受け、昨季から中日でプレーする上林誠知(右)。左はベテランの涌井秀章
「強かった時のホークスは、点を取るために何をすべきか分かっていた。特にその強さ、凄みを感じたのは、(2014~2019年)ロッテにいた時。当時はどんな形であれ、1死三塁や、2死三塁という“得点に一番近い形”を作り、犠飛や内野ゴロ、相手の些細なミスで1点を取ってきた。他にも、下位打線が粘って球数を投げさせてきた。それはファイターズもそう。西川(遥輝)、中島(卓也)、近藤(健介)の3人で相手の先発投手に球数投げさせて、根負けさせる。四球→盗塁、進塁打、そして中軸に返されるパターン。どこのチームもチャンスの数は変わらない。それぞれが、自分の役割を考えて打席に入っているように感じていた」
ボディーブローのように競り負けた試合が実際にあった。4月3日の巨人戦(バンテリンD)で、5得点のうち4点で犠飛を許し、接戦を落とした。2回に坂本勇人が大野雄大でから先制犠飛を打ち上げると、3回に吉川尚輝、5回に岡本和真、8回には再び坂本がダメ押しの犠飛で、トドメを刺された。この試合は、中日も3点中2点を犠飛で挙げている。観戦しているファンからすれば、高弾道のホームラン合戦を期待する声もあるが、この4本の犠飛こそ、“得点に一番近い形”を象徴しているのではないだろうか。
揺さぶりも必要?
昨年のリーグ王者・巨人は、リーグ2位の10個の犠飛(中日は6個)、首位・阪神は41個の犠打(中日は36個)と、好機を拡大するための「攻撃の型」を確実に作っていると推察する。データに表れる四死球や盗塁数はもちろん強いチームの指数になるが、進塁打や相手を揺さぶる攻撃や考え方も、上位に行くには大事になってくるのだろう。(数字は5月21日時点)
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ソフトバンク出身選手は中日だけでなく、他球団でも猛威をふるっている。巨人ではFA移籍した甲斐拓也、トレードで移籍したリチャードも早速、結果を出した。現役ドラフトでは、阪神・大竹を筆頭に、日本ハム・水谷瞬、吉田賢吾らも活躍している。DeNA・三森大貴、九鬼隆平らも貴重な戦力として一軍の舞台で戦っている。
4年半、ドラゴンズの番記者つとめた身としては、早く強いドラゴンズが見たい。ソフトバンク出身者の声に、そのヒントはある。
