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プロ野球PRESSBACK NUMBER
ソフトバンク戦力外→中日で復活…上林誠知ら明かした“本音”「中日とホークス、何が違う?」現地取材でわかった“中日が強くなる”条件…涌井秀章も証言
text by

長尾隆広Takahiro Nagao
photograph byKYODO
posted2025/05/25 06:01
10年間プレーしたソフトバンクから戦力外通告を受け、昨季から中日でプレーする上林誠知(右)。左はベテランの涌井秀章
「怪我したら終わり」ライバルに嫉妬
「支配下になるまでは、絶対に怪我しないよう言い聞かせていました。結果や成績ももちろん大事ですけど、(他の選手より)目立つために怪我せずに投げ切ろうと。怪我をしたら一巻の終わり。一軍で実績がある板東さんや武田さんもリハビリから再び一軍を目指すとなると、また若い選手と競争しないといけない。そういう姿を見てきた。育成という自分の立場も理解していましたし、どんどん出番がなくなる危機感もあった」
怪我をしない。言葉にするのは簡単だが、日本最高峰のNPBでプレーする選手にとって、当たり前のようで一番難しい。そして、三浦の目論見通りに怪我せず登板できたとしても、結果を出さなければ必然的に構想から外れてしまう。がむしゃらに2桁の背番号を目指す中で、自然と芽生えたのが「競争心」。1学年下で、古巣の先発陣に食い込む左腕の名前を挙げたところに、三浦の本音を聞けた気がした。
「前田純、いるじゃないですか。『自分が怪我して、前田が一軍に上がって活躍したら嫌だ』と思っていました。それくらい必死でした。自分だけかもしれないですけど、他の育成選手が活躍するのを見るのも嫌でした。川村(友斗)が一軍の試合に出場して活躍すると、『悔しい』『負けてられない』と思っていました。それが野手でも(嫉妬していた)」
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球団ごとに育成選手に対する考え方は違うが、チーム内の激しい競争が生む影響は想像以上に大きい。サバイバルの中で三浦が見つけた「怪我をしない」というポリシーは、誰にも真似できない長所として認められていくだろう。
最後に、常勝軍団・ソフトバンクに真正面から対峙してきた涌井秀章にも同じ質問をしてみた。西武、ロッテ、楽天と渡り歩き、ドラゴンズ3年目。今季2勝目を挙げ、所属した4球団で10勝を達成した。
ベテラン涌井はどう見る?
修羅場をくぐってきたからこそ、右腕の言葉には説得力がある。

