- #1
- #2
ぶら野球BACK NUMBER
球界OBが猛批判「残念ですね」「落合に3億円の値打ちない」張本勲もバッサリ…落合博満40歳のFA移籍、じつは巨人関係者もみんな“冷たかった”
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byJIJI PRESS
posted2024/10/08 11:01
1993年12月、年俸約4億円の2年契約で巨人入団を発表した落合博満(当時40歳)
落合が表紙を飾る「週刊ベースボール」1993年12月20日号では、「40歳の四番打者に期待する巨人そのものに最も大きな病巣がある!!」という特集記事が掲載された。
「“オレ流”を認めるのかどうかとか、チームにすんなり溶け込むために、中畑コーチが間に立つとかいわれている。でも、入る前からそんな心配をしなければならない選手を迎えるということ自体がおかしい」(元巨人ヘッドコーチ高田繁)
「あと3年から5年、年齢が若かったらチーム作りとしてはプラスでしょうが、もうあのトシですからね。まして長嶋監督は“スピード野球”を売り物にしているわけだから、もっと違う補強があったのでは。ちょっと残念ですね。中、長期的にチーム作りを考えたら、間違いなく後退だと思いますよ」(中日OB谷沢健一)
第一次長嶋政権初年度、最下位に終わったチームを変えようと張本勲をトレード獲得したように、今度は落合にその役割を託すという論調に対しては、当の張本本人が「とにかく死にもの狂いでやるしかない。“オレ流”の調整法などといっている場合じゃないと私は思いますよ。もう相手投手も弱点は十分わかってますからね」なんてバッサリ。前年度の年俸2億7000万円の1.5倍となる、球界最高給の推定年俸4億500万円には、「環境も変わるし、それなりの集中力を出せると思うけれど、その中身が問題。3割30本は打ってもらわないと周りも納得できないんじゃないですか」(西武OB松沼雅之)、「今年の落合の成績を見てもわかるように、とても3億円の値打ちのあるような選手じゃない」(ロッテOB山崎裕之)と散々なものだった。
背番号問題も…みんな“冷たかった”
喧噪の中で、11月24日に中日と残留交渉に臨み、年俸は現状維持の条件提示もされたが「他の球団の話も聞きたい」と落合は態度を保留。ダイエーの“球界の寝業師”こと根本陸夫代表取締役専務兼監督も獲得に興味を示しており、巨人サイドは万全を期し、長嶋監督を常務取締役・編成担当とする緊急人事を断行する。
12月9日、東京・六本木の全日空ホテルで、落合の40歳の誕生日に巨人との初の入団交渉が行われた。1時間にわたる話し合いで「非常にいい感触を得ました」と手応えを語る保科昭彦球団代表と、「誠意は感じたよ」と満面の笑みを浮かべる落合は相思相愛のようにも思えた。