野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
「俺が巨人やソフトバンクのGMをやってもダメ」だった理由は…? 元GM高田繁(78)が語るDeNAの特殊性「優勝へのアプローチの仕方が違う」
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/19 06:01
DeNAに復帰し早々に活躍を見せている筒香。FAには消極的だったという高田氏も「筒香は別」とその存在感に太鼓判を押す
高田 ただ、優勝へのアプローチの仕方が違う。よそからエースや4番打者を獲ってくるか、原石を見つけて自前で育てるか。俺は後者の方が自分に合っていたし、チーム作りとしても結果的に優れていると思っている。
――やはり向き不向きがあるんですね。
高田 まぁ、これまでお世話になってきた球団がそうだったこともあるけど、一番は自分が選手を見て、惚れた原石を磨いて成長させるのが何よりも楽しみだったということもあるわな。
――でも、自前で育てると時間がかかりそうですよね。
高田 最初はちょっと時間かかりますよ。でもベイスターズは、ちょっとかかりすぎたな。5年か6年ぐらいで優勝するつもりだったのに、もう10年以上経っとるからな。
筒香復帰…今季こそ「優勝せないかん」
――今年も開幕から上がったり下がったりですが、どうでしょうかねぇ。
高田 そうなのよ。開幕からしばらくは想定し得るいろんなパターンを考えたうちの、いちばんと言っていいほどの、いい状態のスタートを切れた(※4月上旬の調子が良かったころのインタビューです)。ええかげん、今年こそ優勝せないかんわな。
――(※その後、4月16日に筒香選手の入団が確定しました)
高田 いや、ホンマによかったな。金額ではもっといい条件があったろうに、よくぞ決断してくれた。出る時に「帰ってくる時はベイスターズ」と言うとったんやろ。律儀な男よな。それに交渉もよく誠意を尽くしたんだろうね。ずっと声を掛け続けたみたいだし、南場(智子オーナー)さんもね。
――筒香が帰ってきて、佐野(恵太)・牧(秀悟)・宮崎(敏郎)、これに(タイラー・)オースティンが復帰してきたらどう使えばいいのかうれしい悲鳴ですね。
高田 俺は前から言う通り、足のある選手を使って、細かい野球ができるのがチームとしては理想なんだよ。だけど、今年は奇しくも選手が揃ってしまった。これはね……みんな使うべきだと思う。
ここで筒香がひとつ入ってくれたらね、チームは勢いに乗っていく切っ掛けになるよ。これでまた選手に競争が生まれるだろ。改めてな……ええかげん、今年こそ優勝せないかんわな。