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「最初に『女性トイレをキレイにしよう』…これまでと発想が違った」元ベイスターズGMが振り返る“黎明期のDeNA”「南場さんの熱がスゴかった」
posted2024/02/28 11:00
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph by
JIJI PRESS
一線を退いていた2011年12月。親会社が変わったDeNAベイスターズから三顧の礼でチーム作りの一切を任されるGMに就任。焼け野原の中から7年間かけ、チームの土台をつくりあげると、2018年いっぱいでGMを退任した。御年78歳。プロ野球の第一線から退いて早5年。野球人永遠の課題である「チーム作り」の考え方を後世に伝えるべく、高田繁は語り始める。<Number Webインタビュー全2回の第1回/第2回も配信中>
――よろしくおねがいします。
高田 はいはい。よろしくね。
――2024年もキャンプがはじまりましたが、高田さんは今年のお正月はどう過ごされていたのですか?
高田 え、今年? そうねえ。正月はどこにも出かけんと自宅でゆっくりすごさせてもらいました。子どもや孫、みんなが来てくれてな、それだけね。何も変わりがないけど、ありがたい時間だったね。
――新年の抱負などは語られたんですか?
高田 俺のか? なにバカなこと言ってるんだって。78やで(笑)。終活の身辺整理で忙しいってのに、抱負なんてあるわけないでしょう。新聞を見れば新年早々から同年代の人たちが亡くなってらっしゃる。やっぱり一番最初に年齢に目がいくんだよね。八代亜紀さんはまだ73歳か、ああ、ベッケンバウアーは同じ年じゃないかってね。さびしいよね。今は俺も女房も健康で元気にさせてもらってるけど、そんなもんこの先どうなるかなんてわかりゃあせん。老人は今しかない。未来への希望は若者たちの特権ですよ。
2018年にGMを退く。現在はDeNAの「フェロー」
――含蓄のあるお言葉です。高田さんは2018年にGMを退いて以来、どのような生活をされているのでしょうか?
高田 うん。今の肩書はね”フェロー”っていうの。でもベイスターズじゃない。DeNA親会社の方のフェロー。だから、立場上、球団には直接アドバイスはしない。これはね、僕が希望したんですよ。そのかわりに、高校野球や大学野球を好きな時に観に行けるからね。母校の明治大学にふらっと行って、グラウンドにも降りていける。孫もおるしな。野球はこれまでゲップがでるほど観てきたからね。もう、できるだけ仕事にはしたくないんだけど、野球を観てると、どうしたって力が入ってきてしまうからなぁ。