――ゲームをコントロールするのもGKの大きな役割ですからね。ただ、日本ではまだまだGKの重要性、魅力がヨーロッパのようには浸透していない。そういった認識を広めるために、どんなプレーをしていきたいですか？

「ゴール前のペナルティエリアは、僕らGKの庭。今は『自分がボスなんだ』という意識を持ってプレーしています。いかにその空間を制するか。飛び出しもそうだし、ハイボールもそうです。決定的なシーンが生まれる前に、ボールを奪ってしまう姿を見せたいなと思います。それは日本のGKがあまりできていないことだと思いますし、自分もできていなかったと痛感しているので。そこを改めたい」

――ゴールライン上のゴールマウスを死守するのではなく、ペナルティエリア、その空間を支配すると。

「シュートを打たれる前にボールを奪ってしまえば、身長も関係なくなりますから。僕は183センチで、GKとしては背が低い部類に入る。だからこそ、小さくてもゴールをしっかり守れるということを子どもたちにも示したい。自分の庭に相手を入れない。クロスが上がったら全部自分が行く、というくらいに」

「日本のGKへのイメージを変えたい」と語る西川周作　©Takashi Shimizu

「ポイチさんにプレッシャーをかけたい」

――西川選手は30代半ばでミレッGKコーチと出会いました。もっと早く出会っていれば、という思いはありますか？

「確かに若いときに出会っていれば……と思わなくはないですが、逆に今だから良かったとも感じています。過去の自分があったから今の自分と比べられるし、ジョアンの言葉を深く理解して実践できるんだと思えるので。まだまだジョアンも引き出しがあるみたいなので、自分の成長が楽しみですね。今も勉強の途中です」

――選手寿命が長いGKとはいえ、30代後半の現在もまっすぐに「成長できる」と思えるのは素晴らしいですね。

「僕には目標があります。浦和レッズでリーグ優勝するのもそのひとつです。同時に、また日本代表に呼ばれたい、日本代表のユニフォームを着て試合に出たい、という欲がある。それがなくなったときは、サッカーをやめるときだと思っています。だからできるだけ結果を残して、ポイチさん（森保一監督）にプレッシャーをかけたい。サンフレッチェ広島時代に一緒にやっているからこそ、今の自分を認めてもらいたいですね。『なんで西川を呼ばないんだ』って周りからもプレッシャーをかけてもらえるくらいに、僕は頑張り続けたい。その気持ちだけです」

＜第1、2回から続く＞