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西川周作37歳の宣言「結果を残して、ポイチさんにプレッシャーをかけたい」…進化を続けるベテランGKが“日本代表”を強烈に意識する理由
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakashi Shimizu
posted2023/09/18 11:06
笑顔で「ポイチさん(森保一監督)にプレッシャーをかけたい」と語った浦和レッズの西川周作。広島時代の指揮官が率いる日本代表への思いとは
試合を通して“無の状態”が長くなった
――今日の取材では、何度となく西川選手から「解決方法」という言葉が出てきました。そういった概念というのは、ミレッGKコーチと出会ったからこそ生まれたのでしょうか?
「確かに。今まではそんなに『解決方法』という形で考えることもなかったので、使ってなかった言葉ですね」
――解決方法という概念をあまり意識していない時代は、「もっとうまくなる」という熱量はあっても、課題に対して漠然と突き進むことが多かったのではないでしょうか?
「それこそ“気持ち”ですよね(笑)。気持ちを切り替えてとか、そういうことになってしまうので」
――解決策があると思えるからこそ、プレーの解像度を上げてどうすべきかを考えられる、と。
「より具体的に対処できるようになりますね。うまくいかなかったプレーを分析できるし、アップデートできる。守備面に確信が持てれば、より一層ボールのつなぎ、足元への自信も生まれます。パスミスをしても、『この距離感ならいけるな』とリカバリーできますから。ミスをするのが悪いとは、ジョアンは絶対に言わないんですよね。ただ、ミスをしたあとに諦めることに対してはすごく強く指摘されます。『ボールがあの線(ゴールライン)を一個分越えるまでは全力でプレーしろ』と。たとえ失点しようがしまいが、最後まで手を伸ばし切るとか、ボールを見送ってはいけないということを常に言われるので、自然とそれを大事にしています」
――そういった細かな意識づけが、失点を減らすという結果に繋がっている。
「失点の確率が減っているという結果は、落ち着きを与えてくれています。あと、ジョアンが何度も何度も言うのが、良いプレーをしても悪いプレーをしても、その瞬間に忘れろということ。良いキックでアシストをしたことも、開始1分でミスをしたことも、すぐに忘れろと。すべては90分が終わってから振り返ればいい。試合の局面は常に変わっているから。だから自分も“無の状態”がすごく長くなりましたね」