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「むちゃくちゃ暑い中で走らされて」失意のJ2残留でも…オシム時代を思い出す“ジェフの覚醒”「オフに加入する選手が」48歳監督は何を改革したか
posted2026/02/26 17:01
17年ぶりJ1昇格を果たしたジェフ千葉だが、小林慶行監督体制の3年間で何が変わったのか
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田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Masashi Hara/Getty Images
2025年のJ2で昇格プレーオフを勝ち上がったジェフユナイテッド市原・千葉は、17年ぶりにJ1の舞台に帰ってきた。とはいえ、その道のりは決して平坦ではなかった。小林慶行が監督に就任してからの3年間は、ひとつのスタイルを押し通すことを信念としながらも、同時に紆余曲折にも満ちていた。
小林体制1年目後半から2年目のジェフのサッカーは、Jの全カテゴリーを通じて間違いなく最もエキサイティングだった。
スピードと強度、トランジション。次々と作り出されるゴールチャンス。90分間脚を止めることのない選手たち……。それはかつてイビチャ・オシムが、オシム・チルドレンと呼ばれた選手たちに体現させたスタイルを彷彿させると同時に、Jリーグのサッカーを革新したアンジェ・ポステコグルーのアグレッシブなスタイルに対する、小林なりのひとつの答えでもあった。
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だが、個の力で突出しているわけではないチームが、コレクティブかつアグレッシブなスタイルだけでJ2を勝ち切るのは難しい。導き出された答えが、これまで構築したものに守備の感覚を上積みすることだった。しかし攻守の針は激しく振れ、バランスを取り戻すのはシーズン終盤まで待たねばならなかった。それだけ時間と労力をかけたことが、チームの成熟へと繋がっていく。
むちゃくちゃ暑い中で走らされても選手は
――2025年のシーズン序盤は勝ち点を積み上げましたが、データ的にはあまりよくなく、あなたは「なんとなく勝てていただけで、内容で圧倒はしていません」と表現していました。
「この結果を掴んだと思えば思うほど、時間を割いて取り組んだ守備がメインになってしまった。プレーに躍動感もなければ前からボールを奪いに行く姿勢もない。自分たちが一番大事にしているものを見失っていた。苦しんだ期間の半ばぐらいに気づいて、選手には伝えました」
――そこに葛藤があったのですね。
「『2年間積み重ねた土台を忘れるな。簡単には結果は掴めないけど、最後には絶対に掴むから信じろ』と突き進みました。選手たちは、むちゃくちゃ暑い中で走らされて『前から行け、ラインブレイクしろ、最終ラインを上げろ』と、ひたすら鼓舞され続けた。それでも誰一人疑うことなく、ピッチで自分たちのやり方を積み重ねてくれた。
やがてそれが形になって、再び武器になりました。守備も継続的にやった中で、錆びついていたものが光り輝き、最後にちょうどいいバランスが取れた。この時期のスタッツは全て向上し、リーグでトップになりました。残り10試合で自分たちの目指す形が表現できるようになったんです」
予算はJ2でトップ5にも入れないからこそ
――そこに至るまでの3年間、小林さんはチームにどんな働きかけをしてきたのでしょうか。

