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「大谷翔平が9人いれば…」栗山英樹が語ったWBC監督の理想…大谷をどう口説いた?「着信を見たら翔平で…怖くてすぐに出られず」

posted2023/07/23 11:01

 
「大谷翔平が9人いれば…」栗山英樹が語ったWBC監督の理想…大谷をどう口説いた?「着信を見たら翔平で…怖くてすぐに出られず」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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photograph by

Kiichi Matsumoto

 アメリカを倒して再び世界一になる――。WBC侍ジャパンの指揮官・栗山英樹が描いた青写真は現実のものになった。それは周到な用意と、経験に裏打ちされた感覚があったからこその偉業だった。その詳細に改めて迫る。
 現在発売中のNumber1077号掲載の[監督の仕事術]栗山英樹「最後は魂が決する」より内容を一部抜粋してお届けします。【記事全文は「NumberPREMIER」にてお読みいただけます】

いいチームだと感じた瞬間は?「…ないですね」

――WBCで世界一になりました。栗山さんが監督として掲げた目標を叶えてくれた今回の日本代表、いいチームだなと感じたのはどの瞬間だったんでしょう。

「それは……ないですね」

――えっ、ないんですか。

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「監督って、よくこういうチームで戦いたいとか、理想のチームを作りたいと言いますけど、僕はそういうものはないと思っています。監督というのは理想のチームで戦うんじゃなくて、目の前にあるチームでいかに勝ちやすい形を作るかということが仕事ですから……理想というなら、大谷翔平が9人いればいいんだ(笑)」

――栗山さんの中には、いいチームの定義はないということですか。

「結果がこうだったからいいチームだったという表現は僕の中にはありません。『動機善なりや、私心なかりしか(稲盛和夫)』の言葉通り、動機が普遍的に善で、自己中心的な私心がなければ、結果を問う必要はない。すべての人が命がけで私心を捨てて勝ちに向かってくれたとき、その魂は必ず伝わります。そういうチームであってほしいとは思っていましたし、実際、今回のチームはそうでした。あれだけのトッププレイヤーがみんな、自分のことを捨てて勝とうとしてくれていた。そのことに対する感謝と感動はものすごくありました」

――とはいえ、その魂を感じたのは(キャンプ地の)宮崎ではないでしょう。WBCの実戦で勝ち進んでいくうちにそういう想いに至ったということですよね。

「それはそうですね。でも本当にそれぞれの試合でこの子たちは必死になっていると感じていました。それが準決勝であったり、決勝のあの流れにつながっていったんだと思います」

――今回のWBCでは、栗山さんは選手選考の段階からGM的な役割も担っていました。そうやって必死になってくれるであろう魂の持ち主を選ぶために、選手のどんなところを見ていたんでしょう。

「最後は魂なんです。誰よりも勝ちたくて誰よりもアメリカをやっつけるんだという魂。こういう野球人生を送るんだという熱さのあるなしは、年齢とは関係ない。ただ、ずっと新型コロナウイルスの対策でグラウンドへ下りられなくて選手と話ができなかったので……もちろん、集められるだけの情報は集めました。代表入りについてどう言っているのか、探りましたよ。それはズルい方法で探ったわけじゃなくて、表向きは『出たい』と言ってくれていても身体の状態を考えたら本当は無理だとか、今シーズンは勝負したいからじつは自分のチームで集中させてほしいとか、それぞれの事情があるじゃないですか。そこは選手の本音を探らなきゃならないわけで、絶対に嫌なのに無理やり選んじゃいけない。最後は命がけでいくぜ、という魂の繋がりのあるほうが勝つと思っていましたから、そこを大事に選手を見てきました」

WBC選手選考の基準とは?

――栗山さんなりの魂を見極める基準は何かお持ちだったんですか。

【次ページ】 WBC選手選考の基準とは?

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