「最初、フロンターレの練習参加の話をもらった時は『え、嘘でしょ』という気持ちでした。行きたかったけど、大学に進んだほうがいいのかなと思っていたので」

　練習に参加すると、これまで画面の中で見ていた光景が目の間に広がった。「どうしてもここでやりたいという気持ちに改めてなりました」とオファーに即決した。

「（選手権のスタジアムにも）フロンターレのサポーターの方が来てくれて、スタンドからチームフラッグを掲げてくれたことはうれしかったです。ちょっと喋ったのですが、サッカーを、フロンターレを愛している人たちなんだなと思いました」

　ここからは、憧れているだけではダメ。自分を表現して勝ち取っていかないといけない。そんな気持ちに切り替わった瞬間だった。

「（川崎U-18の）プレミアリーグを制したメンバーから昇格してくる選手や、川崎の下部組織から大学経由で加入する選手もいる。僕1人だけ『他所』から入ってくるわけなので、より覚悟を持たないといけないと思っています。それに僕は下部組織に入りたくても入れなかった立場なので、（フロンターレに対する）気持ちは同じかそれ以上に強いと思っているし、そう思わないとダメだと思っている。フロンターレカラーのユニフォームを着るからには責任ある行動やプレーをしないといけないし、プライドを持ってやりたい」

「三笘選手とは違うアクセントを」

　川崎のドリブラーとなれば、本人も意識してきた三笘の存在と比べられることも多いだろう。だが、磨き続けてきた唯一無二の武器に対してはっきりとこう答えた。

「もちろん憧れであり、尊敬している選手の一人です。でも、僕は僕だと思っています。僕自身はそこまでドリブルにこだわっているのではなく、いかに正確にゴール前まで行けるか、フィニッシュまで行けるか。その手段の一つがドリブル。サイドだけでなく中央でもワンタッチプレーでリズムを作れることが自分の特徴だと思っています。三笘選手とはまた違ったアクセントになれるようになりたい」

　厳しい競争に晒されながらも、自分の現在地を把握しながら、信念と共に武器を磨き続けてきた。そして、プロサッカー選手として憧れのユニフォームを身に纏う。川崎経由で世界に飛び立った先輩たちのように、飛躍する先を見据えて1年目のスタートを切る。

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