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〈J1キャンプ現地レポ〉FC東京アルベル体制2年目の「ポケット攻略」 達人・仲川輝人と期待の俊英は「新たなカラー」を作れるか
posted2023/01/21 11:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
F.C.TOKYO
FC東京の沖縄キャンプ――。午前練習に向けての全体ミーティングが始まる前、ミーティングルームには仲川輝人、小泉慶、徳元悠平……といった今季の新顔がそろう。
チームのベースを築く段階は、アルベル体制1年目の昨季ですでに終了し、今キャンプでは次のフェーズに入っている。
アルベル監督が昨季終盤に話していたこと
そこで、ベースを知らない新加入選手たちが置いていかれないように、全体ミーティングの前に彼らだけを集め、指揮官やコーチングスタッフが映像などを用いて練習メニューの狙いやポイントについてレクチャーしているのだ。
「いざピッチに入ったときにスムーズにやれるように、『今日はこういう練習をするから』と。僕らのやりやすい環境を作ってくれている。ベースを知らない新加入選手が早く馴染めるようにサポートしてくれるので、本当にありがたいですね」
そう歓迎したのは、サガン鳥栖から加入したインサイドハーフの小泉である。
次のフェーズのひとつが、アタッキングサードの攻略である。アルベル監督も昨季終盤にこう話していた。
「ボールを握れるようになる、というフェーズは終わりました。来季はより自信を持って主導権を握り、パーフェクトな形で試合を支配したい。ただボールを回していればいいわけではない。適切な形でボールを保持して試合を支配し、ゲームに勝つことを目指していきたい。それにはどうゴールを攻略するか。そこもポイントになります」
そうしたトライの一端が垣間見えたのが、1月20日に行われたFC琉球とのトレーニングマッチだった。
“ポケット攻略”で心強い仲川の加入
ここまで大学生との練習試合を2試合こなし、Jクラブとは初のトレーニングマッチとなったこの一戦で、アルベルトーキョーが意図的に狙っていたエリアがある。
ポケット、あるいは、ニアゾーン――。
言い方はどちらでもいいのだが、横浜F・マリノスや川崎フロンターレ、あるいはマンチェスター・シティやリバプールなどが相手を押し込んだ際に狙う、ペナルティエリア内のサイドのスペースである。
そこに走り込んだ選手に大外からボールを流し込んだり、コンビネーションを使ってそこに飛び出したりと、鮮やかに崩したシーンはなかったものの、FC東京はこの日、あの手、この手を繰り出していた。
その点で今季のFC東京にとって心強いのは、“ポケット攻略の達人”とも言うべき選手が加入したことだろう。
2019年シーズンのMVP&得点王、右ウイングの仲川である。
横浜FM時代にはいったい何度、ポケットに飛び込んでゴールを奪い、深い位置まで切れ込んでアシストをマークしたことか。
スピードスターの加入の効果について、右サイドバックの中村帆高はこう語る。