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「巨人以外に浅野翔吾を1位指名するのはどこ?」「ヤクルト1位&2位指名は先発ピッチャー候補」ドラフト全指名予想《DeNA・オリ・ヤクルト編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph bySankei Shimbun
posted2022/10/19 11:07
ドラフト目玉候補の吉村貢司郎投手(東芝・183cm85kg)
今年のセ・リーグ制覇は、中村悠平、内山壮真……捕手陣の頑張りも忘れてはいけない。同時に、ケガのリスクに常につきまとわれるポジションであることも、忘れちゃいけない。四国の独立リーグから、4位・上甲凌大(愛媛マンダリンパイレーツ)だ。
長身捕手はなかなか戦力になりきれない……今のプロ野球で「都市伝説」になりそうな話をたまに耳にする。だが、ヒザと足首、股関節に人並みの可動域があれば、低い動きはできる。それが上甲だ。
捕球から一瞬でトップの姿勢を作り、真上から投げ下ろしてホップするような二塁送球だ。昨年の都市対抗野球当時は社会人野球・伯和ビクトリーズに所属し、レギュラー捕手として、東京ドームの右中間へ1試合2弾の離れワザだ。
先輩たちにかわいがられそうな前向きで、明るい性格。愛媛生まれの宇和島育ち。愛媛出身の衣笠剛球団社長にも喜んでもらえそうな「伊予産」の登場だ。
5位指名で社会人球界トップクラスのバットマン
村上宗隆三塁手、山田哲人二塁手……ヤクルトが誇る、いや、日本プロ野球界を代表する大看板だ。不動のクリーンアップなのは間違いないが、とはいえ、何かあった時に、戦力がガッターンと音をたてて落ち込んではいけない。
そこで、二塁、三塁を高いレベルで守れて、しかも社会人球界トップクラスのバットマン……福永裕基(日本新薬)を5位で押さえて、強い箇所をさらに強くしておく本物の「補強」が実行できた。
今年26歳でも、ぜんぜん丸くならない気迫抜群の走攻守。ファーストストライクをジャストミートで長打にできる技術には、「代打男」としての資質も秘める。これはタイムリーな指名となった。
そして、6位で高校生左腕・坂本拓己(知内高)で締める。
風雪きびしい奥尻島で生まれ育って、自然にも徹底的に鍛えられてきた辛抱強さは、間違いなく伸びしろだ。
クロスファイアーに一級品の球筋を持ち、現状140キロ前半のアベレージでも、今は素質開発率50~60%というところだろう。頭が直立したまま、腕が振れるようになれば、スライダーの変化点も打者に近くなるし、速球のスピンも変わってくる。
伸びようとする意欲は人一倍。こういう選手を一丁前に仕立て上げるのが、「プロの仕事」というものだろう。指導者たちの腕の見せどころだ。
<日ハム・中日・ロッテ編/広島・楽天・巨人編/西武・阪神・ホークス編から続く>