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「巨人は2位指名も高校生スラッガーを狙う」「カープは3位指名で“5年後の前田健太”」ドラフト全指名予想《広島・楽天・巨人編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph bySankei Shimbun
posted2022/10/19 11:05
ドラフト目玉候補の西村瑠伊斗外野手兼投手(京都外大西高・178cm75kg)
楽天1位指名は「右打ちの大砲候補」
【楽天 2022年ひとりドラフト指名選手】
1位 森下翔太 22歳 外野手 中央大 182cm88kg 右投右打
2位 増居翔太 22歳 投手 慶應義塾大 171cm68kg 左投左打
3位 友杉篤輝 21歳 遊撃手 天理大 171cm68kg 右投右打
4位 白濱快起 18歳 投手 飯塚高 191cm93kg 右投右打
5位 坂根佑真 22歳 投手 東北福祉大 175cm75kg 左投左打
6位 山本晃大 23歳 外野手 慶應義塾大 180cm80kg 右投左打
(※なお、楽天は立教大・荘司康誠投手の1位指名を公表しています)
【楽天 総評】
チーム不動の大看板の、岸孝之(37歳・8勝10敗)、田中将大(33歳・9勝12敗)、則本昂大(31歳・10勝8敗)は、今季も変わらず大奮投だったが、そろそろ峠にさしかかってきたのかもしれない。勝った数だけ、負けもする……数字から見える「兆候」。
そこに、今季はファームで新鋭の台頭があった。2年目・高田孝一(法政大)とルーキー・松井友飛(金沢学院大)。高田投手はイースタンで11勝2敗・防御率2.25、松井投手6勝1敗・防御率なんと1.17。
来季は、この2人の新鋭右腕の一軍ローテーション入りが実現するとして、昨年の1位・吉野創士(昌平高)に続いて、右打ちの大砲候補をもう一門。森下翔太(中央大)を1位指名だ。
東海大相模高当時、グラウンド右中間後方のバス通りを越えていった大アーチには腰を抜かした。神宮なら右中間中段あたりではないか。右打者で右中間方向へ驚異の長打力。そこに、大学4年間の実戦経験で、タイムリーが打てる勝負強さが加わった。
出塁して、盗塁の気配を発しながらけん制球を何球も投げさせて、打者に対する集中力を半減させる……そんな目に見えない「走塁力」を発揮して、打線をつないでいく。まさに、「相模」のベースランニングだ。大奮闘の4番・島内宏明には頭が下がるが、有力な後継者が誕生した。
2年目・早川隆久が左ヒジクリーニングで、来季のスタートで「左腕」が足りない。頼みは抑えの松井裕樹だけ……そんなことにもなりかねない。173cmの辛島航が低めを強い速球と変化球で突いて、ローテーションの一角を守ってきた。2位・増居翔太(慶應義塾大)はよく似たタイプの左腕。速球から入っても、スライダーから入っても、ストライク先行の投球。打者に息をつかせぬアップテンポな投球で、時間をかけずにイニングを終える。
カットボールにツーシーム……「飛び道具」もあるが、本人が自身を持つのはギアを上げれば140キロ台後半の強い速球。とはいえ、ムキにならずに、あくまで緩急で用心深く投げられれば、初年度から早川投手を肩代わりできる左腕になれる。
今ドラフト最大の「隠し玉」候補
3位・友杉篤輝(天理大)は、まず「小深田大翔遊撃手」のサポートに入ってほしい。スローイングにやや心配ありの小深田だが、今季はしぶとくヒットを重ねて、リードオフマンに定着した。俊敏で速い打球と球際に強い守りで肩も強い。盗塁できるスピードと野球カン。一人何役もできるバリエーションの広いプレイヤーだ。
将来の投資として、ドラフト補強で本格派の大器を欠かしてはいけない。