Jリーグでの山根は川崎フロンターレの不動の右SBとして、酒井とリーグ屈指の右SBの座を争っています。酒井に見劣りしないぐらいの力をつけてきているのは間違いありません。

　アウェイのオーストラリア戦というおそらく今予選で一番独特な雰囲気に包まれる戦いで、メンタルの準備を含めて山根がどれだけできるのか。酒井がここまで積み上げてきた経験値やプレースタイル、能力、資質、さらにはチームに与える影響力を考えると、山根がここでどれだけ存在感を見せることができるのかは、今後の右SBの序列にも影響を及ぼすかもしれません。

酒井宏樹が不在だった昨年11月のW杯予選にスタメン出場した山根視来　©JFA

「代えのきかない選手」大迫勇也の不在をどう乗り切る？

　大迫については、彼特有のポストプレーや前線からのタイミングの良い守備のスイッチを含めて、現在の代表チームの戦い方の芯の部分を最前線で担い、下支えする代えのきかない選手のひとりだと思います。

　彼が交代すると、ボールがなかなか前線で収まらず、タメができない傾向があります。彼がいる、いないで、戦い方が変わってしまうレベルです。

　大迫の辞退を受けて、シントトロイデンの林大地が招集されました。その一方で、前田大然がコンディション不良で不参加となりました。「FWで招集されたであろう選手」としては、上田綺世と浅野拓磨、それに林になりますが、プレースタイルや経験値、チームで果たしている役割の多さを考えても、大迫の代わりを務めることができる選手は、この3人に限らずいまの日本にはいないと思っています。

どの選手が代役を務めても、「大迫勇也のタスクをすべてこなすことは難しい」と中村憲剛氏は分析する　©Takuya Sugiyama/JMPA

　大迫が担ってきたタスクはそれぐらい膨大ですし、その役割を引き継ぐのはとても難しい。最終予選でのパフォーマンスについては色々と言われてきましたが、大迫の不在はここまで巻き返してきた戦い方を根幹から揺るがしかねないと言ってもいいぐらいです。

　そうかと言って、代わりにスタメンになる選手の個性をすぐに引き出せるかと言うと、アウェイのオーストラリア戦というシチュエーションを考えても簡単ではありません。それだけに、4－3－3から4－2－3－1や4－4－2など、招集された選手の個性を最大化できる形への変更も必要になると思います。

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