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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
大迫勇也の代役は「いまの日本にはいない」? 中村憲剛が“緊急事態”の日本代表メンバーを徹底分析「吉田麻也とコンビを組むCBは…」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2022/03/22 17:01
大迫勇也と酒井宏樹が不在のなか、アウェイでオーストラリアと対戦する日本代表。最後の試練を乗り越えてW杯への切符をつかむことができるか
吉田麻也の“相方”に谷口彰悟を推す理由
谷口と板倉のどちらかを起用するかと聞かれたら、僕は谷口を推します。彼のプレーをルーキーの頃から切れ目なく見ていますが、今年のJリーグでの存在感はこれまでのなかで群を抜いて素晴らしい。川崎フロンターレは3月20日現在で5勝1分1敗の暫定首位ですが、大黒柱になっているのは間違いなく谷口です。
ジェジエウ、車屋紳太郎、登里享平とDFラインの主力が欠場しているなかで、「最後はオレが守る」という気概や存在感を見せています。もちろんこれまでも見せていましたが、今年はこれまで以上です。「精神的支柱」という言葉が、今年ほど当てはまるシーズンはないとも言えます。
その理由が、中国戦とサウジアラビア戦にあるのではと思います。3連覇を目指すリーグ王者の川崎Fの主将として、Jリーグでは立場を築いてきましたが、日本代表で確固たる存在感を示せていないと本人が感じていたなかで出番が巡ってきた。ぶっつけ本番と言っていい状況のなか、絶対に勝ち点を落とせない大事な試合で、チームの内外に存在意義を示すことができた。それによってつかんだ自信は、相当に大きいものだったでしょう。
板倉ではなく谷口を推すもうひとつの理由が、ポジションです。吉田と冨安の組合せでは冨安が左CBでプレーしていて、冨安に代わって左CBに入ったのが谷口でした。
ポジションの左右の変更は、見える景色や体の向きなども変わるので、人によっては難しくなることがあります。外から見ている以上に、簡単ではありません。どの選手にも得意なサイドがあるとの前提に立ち、選手のポジションをできるだけいじらないためにも、吉田をいつもどおり右に配し、谷口を左に置く、という考えは成り立つでしょう。
ただ、板倉が左で吉田が右という並びも、東京五輪で実現しています。ですから、どちらを起用しても問題ないでしょう。「森保監督はどちらを選ぶのか」と騒ぐのではなく、「どちらが出ても大丈夫」だと、僕は考えています。<後編へ続く>
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