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PSGメッシらをサポーターが威圧…CLベスト16でレアル大逆転勝利の背景<翌日、カンプノウではなぜかバルサの守護神にブーイング>
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/03/14 11:00
これまで何度も見てきた「メッシvsマドリー」のマッチアップ。今までと違うのはメッシがPSGの一員であるということだ
この日欠場の噂もあった、最注目選手の一人であるムバッペも登場してきた。目の前で繰り広げられる、各国代表のエースクラスの選手たちのボール捌きにクローズアップする。またFK練習の際には、ゴール前に、MMNの3人が豪華に並ぶ姿を写真に収める。
あっという間にアップの時間が過ぎ、PSGメンバーが引き上げていく。いつもの撮影に比べ自分もかなり興奮しているのかと思ったら、実際にマドリーのメンバーより5分近くもアップを早く切り上げたようだった。
コートの逆サイドでは、マドリーのメンバーが引き続きボールの感触を確かめている様子が見えた。
メッシの「メ」の字すら響かせてたまるか
UEFAアンセムが流れる前、両先発メンバーのアナウンスが行われた。印象的だったのは、先に行われたアウェイチームのアナウンス。
背番号、名前を呼ばれてブーイングという流れの中、30番とアナウンスが終わる前には、一切の音が聞こえなくなる程のブーイングで、メッシの「メ」の字もここには響かせないという強い思いを感じた。
ホームチームのアナウンスが始まると、大きな歓声がスタジアムを包んだが、一際大きな声が響き渡ったのは、9番ベンゼマのアナウンスの際だった。
キックオフ直前、台風の目に入る。一時の静寂。
メッシとネイマールのハイタッチ、センターサークルでは、メッシとベンゼマが声を掛け合う。
21時、笛が吹かれる。いつも中央でどっしり構えるモドリッチがハイプレスをかける。早くも、ピッチ中央でベンゼマとベラッティが激しくボールを奪い合う。
そして思惑通り、ビニシウスにボールが入ると、目の前で激しい攻防が繰り広げられた。倒されてもそのまま立ち上がり突き進む姿に、マドリーの気迫がレンズ越しに伝わる。
前半5分、この日1度目のスタジアムを埋め尽くすマドリディスタを煽り、共闘を呼びかける姿を撮影した。
ベンゼマとビニシウスの絶妙な連係、メッシの守備
PSGイレブンが、必要以上にこの日のオランダ人審判にプレッシャーをかける。1つ1つのディテールが勝負を決めることを感覚で理解している。この後のファウルの判定1つにも少しでも有利に働きかけていく。
ベンゼマがボールを引き出し、マークを集める。そこにすっとビニシウスが現れると、ボールを渡し、勝負させる。阿吽の呼吸で動くコンビプレーとなっている。
レンズ越しにメッシにプレッシャーをかけるモドリッチが飛び込んでくる。クラシコではあまり撮ったことのない画だ。全体が押しあがっているマドリーの陣形だけの問題ではない。メッシのプレーエリアがかなり低いことも一因だった。
戦術だったのか、個人的判断だったのか、圧をかけるマドリーに対し、メッシもプレスバックしていた。
また、ビニシウスの元までボールを運ぶことはできたが、サイドバックのハキミだけでなく、ボランチのベラッティまで対応しだし、マドリーはシュートまでなかなか結び付けられないまま前半10分が過ぎ、徐々に圧を弱めていった。