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「ゼリー状の“それ”が自分の右目だと信じきっていた」失明危機に陥ったフットボーラー・松本光平が語る“光を失った瞬間”の激痛
posted2022/03/15 11:00
text by
松本光平Kohei Matsumoto
photograph by
Tetsuichi Utsunomiya
運命を変えた2020年5月18日
その日──5月18日も、いつものルーティーンをこなしていました。
地下室に、広背筋を鍛えるために使っていた、トレーニング器具があったんです。自分の身長よりも高い壁面に、何本も束ねられた細いチューブが取りつけてある、これまた手作り感満載のものだったんですけど。
壁側に顔を向けて、チューブを後ろに引くような感じで、1時間くらい背中に負荷をかけていたんです。うっすらと汗が浮き出るまで続けていました。
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そうしたら「バチーン!」という音が鳴って──。
本当に、一瞬でした。
これまで感じたことのない、激しい痛みに襲われました。自分では、痛みに強いほうだと思っていたんです。それまでにも、肩とか膝とか足首とか、いろんなところを怪我してきたので。でも、あのときはさすがに変な声が出ました。
あまりの痛さに、しばらくその場でうずくまっていました。視界が真っ白な状態で、それで目がつぶれたことが理解できました。
あとでわかったんですが、チューブを固定していた留め金が外れて、それが僕の右目に直撃していたんですよ。そして左目には、チューブが当たっていたみたいで。「みたいで」というのは、それに気付かないくらい、とにかく右目が痛すぎて……。
少し落ち着いてから、自分の目がどうなっているのか、鏡で確認してみることにしました。そうしたら、鏡が曇っていたんですよ。よく見えないので、ゴシゴシ拭いたんですけど、やっぱり曇っている。実は鏡が曇っているんじゃなくて、僕の左目もダメージを受けていることが、ようやく理解できました。
とはいえ、絶望とか怒りとか、そういうネガティブな感情は起こらなかったです。むしろ今でも「あの子たちじゃなくて自分で良かった」と思っているくらいで。