小川のゴールへの意欲は、磐田に入団してきた時から変わらない。

　それはストライカーにとって一番大切なものかもしれない。チームのために与えられた仕事をするのは大前提、そこからいかに自分の良さを発揮して点を取るのか。それはストライカーの永遠の課題でもある。

「今の状況を変えるには結果しかない。試合に出たらチームコンセプトを守りますが、出た試合全部で点を取る気持ちでプレーしています。1得点じゃ終われないので、5点は取って優勝に貢献したい。

　プレイヤーとしても人間としても経験を得るために海外に行ってみたいですね。そこで活躍できれば代表に呼ばれる可能性も出てくる。そのためにも常にゴールを貪欲に狙って、チャレンジしていきたいと思います」

©JUBILO IWATA

未完の大器で終わるのか、それとも……

　ここにきて小川は、恥骨結合炎などで1か月以上戦列を離れる予定だ。運はまだ味方につけられずにいるが、ゴールへの熱い気持ちは伝わってくる。点へのこだわりは、磐田歴代のFWである中山雅史や高原直泰のDNAを引き継いでいるようだ。

　果たして、小川は未完の大器で終わるのか、それとも成熟したストライカーとして、これから凄みを見せていくのか――。思い通りに描けなかった5年間を経て、自分が何者であるのかを証明するのは、これからである。

（前編から続く）