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<日韓戦>「緊張したけど気持ちで決めました」山田哲人が大爆発! シドニー、北京と五輪で日本に立ちふさがった宿敵・韓国を撃破
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2021/08/05 12:25
8回、勝利を決める3点二塁打を放った山田哲人
今度は口火を切ったのが山田のバットだ。この回先頭で打席に入ると右中間をライナーで破る二塁打で出塁。坂本の右飛で三進すると、3番・吉田正尚外野手(オリックス)の中前タイムリーで2点目のホームを踏んだ。
一筋縄ではいかない宿敵・韓国との試合
それでも一筋縄ではいかない。それが宿敵・韓国との試合である。
直後の6回に先発の山本由伸投手(オリックス)が韓国打線に捕まり、あっという間に同点に追いつかれた。そしてその裏に回ってきた2死一、二塁の勝ち越し機にはカウント1ボール2ストライクから韓国3番手のチョ・サンウ投手のボールになる外角スライダーに思わずバットが出てしまい空振り三振に倒れた。
「6回の打席では酷い三振をしてしまって、悔しい気持ち、やり直したい気持ちが凄くあった中で8回のチャンスに打席が来たのでやり返そうと思っていました」
その思いを込めて振り抜いたバットから殊勲の一打が生まれた訳だ。
「ここに立てることを幸せに感じますし、感謝の気持ちでいっぱいです」
稲葉篤紀監督が真っ先に指名した選手の一人
野球の五輪競技復活が決まってから、朧げに抱いてきた五輪への出場。当初はどこか現実味はなかったその夢が次第に願いになり、目標へと変わっていった。そうして今回の東京五輪の代表選考では、稲葉篤紀監督が真っ先に指名した選手の一人だったという話を聞いた。
国際試合ではなかなか通用しにくいと言われる大きく足を上げるフォーム。2017年の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では全試合に先発出場して、2次ラウンドのキューバ戦では2本塁打の活躍も見せた。それでも東京五輪の前哨戦と言われた2019年のプレミア12大会では、当初は監督の構想外だったが、予定していたメンバーのコンディション不良で代表入りするなどまだまだ指揮官の信頼も薄く、開幕のベネズエラ戦もべンチスタートだった。